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株式会社高島屋

2022年8月23日

​​更新日:

「アンコンシャスバイアス」が社内の共通言語に。手ごたえを感じています。

1831年創業。会社設立は1919年。大阪・難波に本社を置く老舗百貨店。百貨店事業だけでなく、法人事業や通信販売事業も行っている。グループ商業施設は国内で18店舗、海外で5店舗を展開(2022年5月現在)。1万人を超える総従業員数のうち7割が女性。「いつも、人から。」の経営理念のもと、女性の活躍推進を経営戦略と位置付け取り組みを続けている。2014年には「ダイバーシティ企業100選」、2017年には女性が輝く先進企業表彰「内閣総理大臣表彰」を受賞。

三田 理恵 様(写真右)  人事部タイバーシティ推進室 室長
大原 摩耶 様(写真左)  人事部人事担当兼ダイバーシティ推進担当

実施概要:

「ダイバーシティ&インクルージョン」と「アンコンシャスバイアス」についてのeラーニングを実施。もともと社内で実施していた管理監督者向けのハラスメント研修につなげられるようにカスタマイズし、台本、教材を弊社から提供。eラーニング教材化は高島屋様が自社で行われた。テレワークにおけるコミュニケーションの土台を固めるために、弊社eラーニングプログラム『リモート・コミュニケーション』も導入いただいている。


※企業名、担当者肩書き、プログラム名はインタビュー実施日(2022年5月13日)のものです。

 

【 目 次 】



 


「ダイバーシティ&インクルージョン」と「アンコンシャスバイアス」について


--御社は「女性が輝く先進企業表彰」などを受賞されており、ダイバーシティへの取り組みに力を入れてこられています。それに加えて弊社のサービスを導入しようとお考えになった背景をお聞かせいただけますか?


三田様 当社ホームページでも開示している通り、ダイバーシティへの取り組みは以前より行ってまいりました。「ダイバーシティ」という言葉自体はここ10年15年で入ってきていますけれど、まだきちんと理解されてはいないと思っています。


当社は業界の特性上、働く女性が非常に多く、1990年代以前よりライフステージの変化による両立支援に力を入れてきました。ではそれが導入当初から「ダイバーシティ」という概念で捉えられていたかというとそうではありません。


株式会社高島屋  人事部タイバーシティ推進室 室長

はじめは女性の早期離職を防ぐためにしていたことが、少しずつ高齢者活躍や障害者雇用に領域が広がってきました。


インパクトが大きかったのは「女性活躍推進法」の施行です。女性の活躍にスポットが当たってきたタイミングで、世の中がトータルに「ダイバーシティ」と評価するようになってきました。


両立支援の取り組みは社内にも浸透しており、ライフステージの変化による離職はかなり抑えられてきました。一方、「ダイバーシティって育児支援でしょう?」というイメージもかなり強く残ってしまい払拭しきれていません。


そんな状況ですので「なぜダイバーシティに力を入れるのか」「両立支援はなぜ大事なのか」という本質的な部分の理解はまだまだと感じています。


ダイバーシティを進めることで企業として何を目指していくのか。インクルージョンやイノベーションも含めた部分まで腹落ちしている状況には残念ながら至っておらず、まずはロジカルなところからダイバーシティを学ぶことが重要と考えて、導入させていただきました。


--導入はスムーズにいきましたか?


三田様 じつはもともと定例的に年1回ハラスメントの管理監督者向けの研修をやっていました。 これと併せて何かテーマはないかなと思っていた時に、巷でダイバーシティのホットワードになっていたのが「アンコンシャスバイアス」です。


アンコンシャスバイアス研修は以前からすごくやりたかったのですが、単発で「無意識の偏見ありませんか?」と言われても、受講する側としてはいきなり感がありますよね。それでハラスメントとうまく絡められないかなと考えました。


株式会社高島屋  人事部タイバーシティ推進室 室長

アンコンシャスバイアスについての研修は世の中でも増えてきています。私もずいぶん探しましたが、ハラスメントと絡めたものとなるとなかなか見つかりませんでした。どうしたものかとなった時に御社にご相談させていただいて、そういった思想で作れますよとご回答いただきましてお願いした次第です。


第1章と第2章を御社のダイバーシティとアンコンシャスバイアスで作り、第3章のハラスメントは完全に私たちの内製で作ったものを使う。これを1セットでリリースした形になります。


--弊社でご提供した「ダイバーシティ&インクルージョン」と「アンコンシャスバイアス」はご要望にお応えできていましたか?


三田様 もともと我々の要望にフィットしていただけるところを探していましたので、既製品の教材を使うことは考えていませんでした。御社には柔軟にご対応いただいて、最終的には当社の研修のテイストやよく使う言い回しも含めてフィットするものができたかなと思っています。


目指したいゴールは明確にお伝えした上で、最初イメージ作りのところからダイバーシティ領域とアンコンシャスバイアス領域それぞれのご担当の方が連携しながら草案を作ってくださいました。そこからやり取りをしていったという感じですね。


--弊社でご提供した台本やスライドを御社の方で動画化されましたが、研修に使う教材はいつもそのように作られているのですか?


大原様 研修会社様のeラーニングにそのまま参加するケースもありますが、やはり弊社の研修のゴールイメージにフィットするものをお願いしながら、専門知識をいただいて作るというケースの方が多いですね。


--研修をやってみて反応はいかがでしたか?


三田様 アンコンシャスバイアスはすごく反響が大きかったですね。アンコンシャスバイアスは多くの人が実体験の中でいわゆる「あるある」としてすでに経験していることです。言葉は初めて聞いたけど、「これはまさに現場にはびこっているな」とか「これが本当に問題なんだ」と認識してもらえたと手ごたえを感じています。


株式会社高島屋  人事部タイバーシティ推進室 室長

--受講した方がアンコンシャスバイアスの存在を認識し始めたと感じたエピソードがありましたらお聞かせください。


三田様 受講者は1400名くらいいますので、現場を全部追えているわけではありませんが、まずは我々が社内でやったアンケートにキーワードとしてのアンコンシャスバイアスが出てきていました。あとは上層部との会話の中で「これはアンコンシャスバイアスだね」っていう発言が出るようになったりもしています。


私も他部門の人間と話す時にネタとして意識的に出すことがありますが、いままでは「アンコンシャス、何それ?」だったのが、普通に共通言語として使えるようになりつつありますね。



『リモート・コミュニケーション』について


--御社はテレワークもだいぶ前から導入されていますよね。その分、コロナによるテレワーク拡大にも対応がしやすかったのではと思うのですが、いかがでしたか?


三田様 規則自体は2018年に作っていたので、その点はよかったです。グループ会社の中には規則もないまま2020年を迎えたところもあり、いろんなルール作りが大変だったとは聞いています。


原理原則となる規則があったことは幸いでしたが、移行がスムーズだったかと言うとそうでもありません。たとえば家でwi-fiを繋ぐのが初めての人もかなりいました。普段からやっている人はいいですけれど、コロナ禍で初めてやるときは問い合わせが多くありました。


今はそのフェーズは超えていて、テレワーク可能な人はスムーズにできているかと思っています。


株式会社高島屋  人事部タイバーシティ推進室 室長

--テレワーク拡大後、サポートが必要だと思ったことはありますか?


三田様 一番大きかったのは「異動したてで、いきなりリモート」というパターンですよね。 通常の関係性や仕事のサイクルがある程度わかった上で遠隔になるのはいいですが、そこが構築されないまま始まるリモートは大変です。(同席の)大原なんかはまさに異動してすぐリモートになりました。


大原様 そうですね。異動してきて 一週間ぐらい出社したら原則在宅になりました。そうすると誰に何を聞いたらいいかわからないというところからスタートしなければなりません。


「〇〇さんに聞いてみて」とアドバイスをもらっても、「それは誰ですか?」となって不安でした。 


それこそ電話一本かけるにも緊張してしまうくらいでしたから、コミュニケーションを図る相手のことがわかっているかどうかは大きいと実感しました。


--そんな中で、弊社のeラーニング研修『リモート・コミュニケーション』はどのようにお役に立てたのでしょうか。


大原様 管理監督者向けにリモートワークの時のコミュニケーションの取り方を教えてくれる教材は多くありましたが、ヒント集のようなものが多いです。


「上司からたくさん話しかけてあげましょう」「いつでもオープンな雰囲気でいましょう」と具体的なことを伝えるにしても、その前提として「心理的安全性」が必要であることが学べる機会にしたいなという思いがありました。


どんなに声をかけたとしてもその前提がなければ受け入れられないだろうなと。その点、御社の教材は(前提として学ばせたいイメージに)すごくマッチしていましたのでお願いしました。



--具体的なことより、その背景にある内容がお役に立ったということですね。具体的なことの方が使い勝手がいいのかと思っていました。


大原様 もちろん具体的なことが載っているヒント集も役立ちますが、弊社は2020年からテレワークを拡大したこともあり、ヒント集よりも先に土台をしっかり作らないといけないのでは? と思いました。


以前からテレワークに取り組んでおり経験はある程度積めていたので、ここでいったん基礎になる部分をきちんと整理した上で伸ばしていこうというイメージですね。



三田様 じつは今回のリモートコミュニケーションの研修はわりとミニマムに行いまして、テレワーク頻度が高い部門の上長向けに実施したんですね。そこで様子を見た上で、頻度は少ないけど広い範囲でやっていくのか、もしくは小さな組織限定で集中的に実施してリモートコミュニケーションの良い事例を作っていくっていうやり方もあるかなと思っています。


--コロナの状況はだいぶ良くなってきましたが、今後もリモートは続いていくとお考えでしょうか。


三田様 後退させることはないと考えています。コロナのための働き方という要素はだいぶ薄まってきていて、新しい働き方、より生産性やエンゲージメントの高まる働き方としてのリモートワークのあり方を考えつつあるところです。


--今後はどんな展開を考えておられますか?


三田様 せっかくアンコンシャスバイアスをやったので、そこからの延長で何か行っていきたいと思っています。アンコンシャスバイアスの知識をベースに上司と部下のコミュニケーションにおける心理的安全性や、よりアサーティブなコミュニケーションの仕方のようなところで活用できればいいなと、そんなイメージで思っています。



担当プランナーからひと言


高島屋様の社内をよくするために弊社のソリューションをお使いただけたこと、とてもうれしく感謝しております。


三田様、大原様のお話をうかがっていて思ったのは、「現場の声をしっかりとキャッチアップされている」ということでした。現場のことを親身になって考えられておられるからこそ、サービス導入後に社内で共通言語ができ、課題意識を持つことができたのだと思います。


この日のお話では今後の展開もお聞かせいただきました。高島屋様のダイバーシティ&インクルージョンがどのように発展していくのかとても楽しみにしつつ、プランナーとして尽力させていただきます。


改めてこのような機会をいただきまして、ありがとうございました。




Text: 加藤久佳

Photo: 田中樹

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