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セルフマネジメントとは?意味、能力の高め方や研修のやり方などを解説

  • 執筆者の写真: なつき 高橋
    なつき 高橋
  • 4月22日
  • 読了時間: 16分

更新日:6 日前


ワークエンゲージメントの意味とは?尺度や測定方法・ワークエンゲージメントを高める方法などについて解説

セルフマネジメントとは、英語の直訳で「自己管理」を意味します。


セルフマネジメントは、特にビジネスや医療・看護の現場で重要視されているキーワードです。


本コラムでは、セルフマネジメントの意味や、仕事でセルフマネジメント能力を高めるための研修、トレーニング方法などについて解説します。


アイデンティティー・パートナーズの「ビジネスモデル思考プログラム」は、MBAの講義をベースとして、経営資源の豊富さ、バリューチェーンの優位性を再認識し、自社ミッション・ヴィジョン・ヴァリュー(MVV)へのエンゲージメントをグリップできる状態を目指します。


自らが所属する「企業」という存在の全体感を知ることで、仕事は自分一人で行うものではなく、たくさんのステークホルダー(関係者)との関わりのなかで成り立っていることを実感できるので、セルフマネジメント力向上にもおすすめです。若手社員からマネジメント層まで学びの多い内容となっていますので、ぜひお試しください。




【 目 次 】


  セルフマネジメントの意味

  なぜ今セルフマネジメントが求められるのか

  仕事でのセルフマネジメント

  感情の起伏が少なく冷静に対処できる

  継続力があり目標達成力が高い

  他者との関係性も良好に保てる

  感情的になってしまう

  目標設定があいまいで行動が続かない

  仕事でセルフマネジメントができないとどうなる?

  具体的な目標を立てて行動を計画する

  1日の行動を記録して自己分析する

  マインドフルネスや瞑想を取り入れる

  セルフマネジメントに検定試験はある?

  セルフマネジメント能力を高めるためにおすすめの本

  セルフマネジメント研修のポイント



セルフマネジメントとは?意味と重要性


セルフマネジメントは自分の業務やタスクだけでなく、体調や時間、感情やモチベーションなどを管理することです。


まず、セルフマネジメントのビジネスにおける意味と重要性、注目されている背景などについて解説します。



セルフマネジメントの意味


セルフマネジメントとは簡単にいうと「自己管理」です。自分の体調や感情、時間、タスク、モチベーションなどを管理して、よりよいパフォーマンスを実現するためにセルフマネジメントが用いられます。


経営学で有名なピーター・F・ドラッカーは『経営者の条件(原題:The Effective Executive/1966年)』において、優れた経営者は性格や資質ではなく習慣と実践からつくられる、と主張しました。※

『経営者の条件』は、ドラッカーの古典的名著の一つとされており、それ以降、ビジネスにおいてセルフマネジメントの重要性が注目されるようになってきています。


また、セルフマネジメントは医療看護・介護などの業界でも重要なコンセプトです。カナダ人医師のボルボー教授の研究をきっかけに、入院予防やQOL向上にセルフマネジメントが科学的に有効であることが明らかになり、日本でもセルフマネジメントを支援する医療機関や介護施設が増えてきています。※※


※参考:A Modern Summary of The Effective Executive by Peter Drucker | by Trifon Tsvetkov | Medium


※※参考:独立行政法人環境再生保全機構|WEB版すこやかライフ|知っているようで知らない「セルフマネジメント」~その最新情報~①(全3回)



なぜ今セルフマネジメントが求められるのか


ドラッカーにより早くからビジネスにおけるセルフマネジメントの重要性は指摘されていましたが、近年になってよりセルフマネジメントが注目されています。


その背景には以下のような理由が考えられます。


VUCAの時代への対応

現在は「VUCA」と呼ばれる、将来の予測が難しい時代に突入しています。ビジネス環境の変化が極めて速く、複雑になっている現代においては、従来のようなマニュアル頼りの働き方では通用しません。そのため、自分の状況を正確に把握し、目標を柔軟に調整しながら行動するセルフマネジメント能力が重要になります。


VUCAの時代には、どのような不測の事態におかれても、自律的に動ける力=セルフマネジメント力が求められているのです。


リモートワーク・テレワークの普及

リモートワークやテレワークの普及により、働く場所や時間の自由度が高まる一方で、自己管理の難しさも浮き彫りになっています。


オフィスのように上司や同僚の目がない環境では、自らの行動や時間を律する必要があります。サボらないようにする、自分に合った働き方を見つける、集中力を維持する、といった行動はすべてセルフマネジメントに直結しています。自由な働き方を持続可能にするために、自己管理の力は欠かせないスキルとなっているのです。


効率性や生産性アップの必要性

少子高齢化や労働時間の短縮が進むなかで、限られたリソースで高い成果を出すことが求められています。そのためには、個人レベルでの効率的な働き方の実現が不可欠です。


セルフマネジメントを身につけることで、目標に向かって優先順位を決め、ムダを省いた行動が可能になります。結果的に、組織全体の生産性向上にもつながるでしょう。効率的に働くための基礎として、セルフマネジメントは現代のビジネスパーソンにとって必須のスキルといえます。



仕事でのセルフマネジメント


仕事でのセルフマネジメントは、目標達成やパフォーマンス向上のために自己管理することをいいます。


仕事でのセルフマネジメントは、時間やタスクの管理に加えて、自分の感情やストレス、モチベーションなどさまざまな要素を考慮して行う必要があります。仕事でのセルフマネジメントを構成する要素として、たとえば以下のようなものが挙げられるでしょう。


  • タイムマネジメント

  • タスクと目標管理能力

  • 意思決定力

  • キャリアデザイン、自己開発

  • メンタルヘルスケア

  • アンガーマネジメント

  • ストレスマネジメント

  • レジリエンス

  • マインドセット


前出の経営学者ピーター・F・ドラッカーは「すべては、自分自身を適切に管理するという仕事から始まる」という言葉を残しています。※


仕事でのセルフマネジメントで配慮すべき分野は多岐にわたりますが、自分をマネジメントできない人がほかの人や組織をマネジメントしようと思ってもうまくいきません。マネジメントの基本は自己管理=セルフマネジメントにある、ということを覚えておきましょう。


それぞれの要素について以下のコラムでも解説していますので参考にしてください。


マインドセットとは?ビジネス上の意味、研修やコーチングで活用されている理由


※参考:ドラッカー名言録78



セルフマネジメント能力とは?高い人の特徴


セルフマネジメント能力が高い人にはいくつかの共通した特徴があります。


たとえば、感情をうまくコントロールできる、目標に向かって地道に努力できる、周囲と良好な関係を築けるといった点です。こうした力は、日々の仕事の質を高め、ストレスの少ない安定した働き方にもつながります。


ここでは、セルフマネジメント能力が高い人に見られる代表的な3つの特徴を紹介します。



感情の起伏が少なく冷静に対処できる


セルフマネジメント能力が高い人は、状況が変化しても冷静に行動できるのが特徴です。


感情に振り回されることなく、目の前の課題を冷静に分析し、最善の選択ができます。たとえば、ミスが起きたときにパニックになるのではなく、原因を冷静に振り返り、次にどう改善すべきかを考えられる姿勢が求められます。


このような安定した対応力は、周囲からの信頼にもつながり、リーダーシップを発揮するうえでも重要です。



継続力があり目標達成力が高い


セルフマネジメント能力が高い人は、目標に向かって計画的に行動し、継続的な努力を重ねる力があります。


たとえば、長期的なプロジェクトにおいても途中で集中力が切れることなく、モチベーションを維持してやり抜けます。自分の行動や時間を客観的に把握し、必要に応じて計画を見直す力があるからです。



他者との関係性も良好に保てる


セルフマネジメント能力が高い人は、自分の感情や行動をコントロールできるだけでなく、周囲との関係性にも配慮する力があります。


たとえば、チームでの協働やコミュニケーションにおいて、相手の立場を理解し、適切な距離感で接することができます。自分のペースを守りつつも、相手との調和を大切にすることで、信頼関係を築けるのです。


このような姿勢は、職場の雰囲気を良くし、チーム全体の成果にも良い影響を与えます。



セルフマネジメントができない人とは?特徴とデメリット


セルフマネジメントができない人には、感情のコントロールが苦手である、目標設定が不明確で行動が続かないといった傾向があります。これらの特徴が積み重なることで、仕事の質が低下しやすくなり、自己成長の機会を逃してしまう恐れもあるでしょう。


ここでは、セルフマネジメントができない人の具体的な特徴と、それによって起こりうるデメリットについて解説します。



感情的になってしまう

  

セルフマネジメントができない人の特徴の一つに、感情の起伏が激しく、感情に左右されやすいことが挙げられます。


たとえば、些細なミスや他人からの指摘に過剰に反応してしまい、冷静に対応できない場面が見られます。感情的になることで判断力が低下し、周囲とのトラブルにつながることもあるため注意が必要です。

感情を客観的に捉える習慣をつけることが、セルフマネジメントの第一歩となります。



目標設定があいまいで行動が続かない


目標設定が不明確なままだと、行動に一貫性がなくなり、途中でやる気を失ってしまうことがあります。


セルフマネジメントが苦手な人は、「いつまでに」「何を」「どうやって達成するか」といった具体的なプランを立てるのが得意ではありません。そのため、行動が継続できず、成果を出せないまま終わってしまうケースが多くなります。



仕事でセルフマネジメントができないとどうなる?


セルフマネジメントができない状態が続くと、仕事の効率が落ちるだけでなく、チームや上司からの信頼を失ってしまうリスクがあります。


たとえば、期限を守れなかったり、感情的な対応をしてしまうことで、周囲との関係が悪化する可能性があります。また、自分自身のストレスも増え、メンタルヘルスの不調につながるおそれもあります。結果として、自分のパフォーマンスだけでなく、組織全体にも悪影響を与えることになりかねません。



セルフマネジメント能力を高めるやり方


セルフマネジメント能力は、生まれ持った性格だけでなく、日々の取り組みで高めることができます。意識的な訓練によって、自分の感情や行動を効果的に管理できるようになると、仕事や生活の質が大きく向上します。

ここでは、実践しやすく効果の高い3つの方法をご紹介します。



具体的な目標を立てて行動を計画する


セルフマネジメントを高めるためには、明確な目標を設定し、それに向かって行動計画を立てることが大切です。曖昧な目標では行動が定まらず、習慣化もしにくくなります。


たとえば「毎朝30分早起きして読書する」といった行動目標は、達成度が測りやすく継続しやすいです。ゴールを意識することで自己管理の意識が高まり、主体的に行動できるようになるでしょう。



1日の行動を記録して自己分析する


日々の行動を記録し、振り返る習慣はセルフマネジメント向上に効果的です。自分がどのように時間を使い、何に集中できたのかを可視化することで、無駄な行動や感情の波に気づくというメリットがあります。


記録方法は、手帳やアプリなど自分に合った手段で構いません。1日に数分の振り返りを積み重ねることで、自分の行動パターンを理解し、より効率的な自己管理ができるようになります。



マインドフルネスや瞑想を取り入れる


セルフマネジメント力を支えるのは、感情の安定と集中力です。


マインドフルネスや瞑想は、今この瞬間に意識を向ける練習を通じて、心の状態を整える方法として注目されています。1日5分の深呼吸や静かな時間を持つだけでも、ストレス軽減や思考のクリアさに役立ちます。


継続することで自己認識力が高まり、自分の感情や行動に冷静に対処できるようになります。



セルフマネジメント能力を鍛えるための研修・トレーニング方法


セルフマネジメント能力は、日々の意識づけだけでなく、学習や研修を通じて体系的に高めることができます。

ここでは、関連する検定や学びに役立つ書籍、研修のポイントについてご紹介します。



セルフマネジメントに検定試験はある?


現在、日本では民間・国家資格とともに、セルフマネジメントを主体とした検定試験や認定資格などはありません。(2025年4月現在)


セルフマネジメントにかかわる内容が学習できる検定試験としては、大阪商工会議所主催の「メンタルヘルス・マネジメント検定」があります。メンタルヘルス・マネジメント検定は、職場の心の健康を守るための知識とスキルを認定する試験で、I~Ⅲ種のレベルに分かれており、一般社員向けのⅢ種「セルフケアコース」では、セルフケアの重要性や自分自身のメンタルヘルス管理などが学べます。


セルフマネジメント検定について、詳しくは以下のコラムで解説していますので興味がある方は参照ください。


マネジメントとは?意味や業務管理の方法、マネジメント能力の高い人の特徴などを解説

    


セルフマネジメント能力を高めるためにおすすめの本


セルフマネジメントについて学習したい、あるいはセルフマネジメント能力を高めたいという方におすすめの本・書籍を5冊紹介します。

『ドラッカー・スクールのセルフマネジメント教室 』

著者:ジェレミー・ハンター/稲墻 聡一郎

出版社:プレジデント社

出版年月日:2020/2/27


ビジネスでセルフマネジメントが重要視されるきっかけをつくったともいえるピーター・F・ドラッカー。そのドラッカーが創設したビジネススクールでは、マネジメントデザイン、ビジネス実務法務、リーダーシップなどに加え、セルフマネジメントが重要な科目となっています。


本書は、そんなドラッカー・スクールの「人生を変える」ともいわれるセルフマネジメントの授業内容をまとめたものです。セルフマネジメントのプロセスを可視化したインテンション・リザルト・マップ(IRマップ)をもとに、誰にでも実践できる「望む結果」を出すための方法を解説しています。


『理想の自分をつくる セルフトーク・マネジメント入門』

著者:鈴木 義幸

出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン

出版年月日:2021/1/29


著者は日本でのビジネスコーチングの第一人者、株式会社コーチ・エィ代表取締役社長である鈴木義幸氏。本書では、「ネガテイブな感情」をコントロールし、緊張・焦り・不安・いらつき・やるせなさなど「感情的な不安」を「理性的な問い」に変えることで理想の自分をつくるセルフトーク・マネジメントの方法を解説しています。


「何故自分が思ったように動けないか」を論理的にわかりやすく解説しており、感情コントロールやセルフマネジメントの実践的な方法を学ぶのに最適です。


『一番大切なのに誰も教えてくれない メンタルマネジメント大全』

著者:ジュリー・スミス (著)/野中 香方子 (翻訳)

出版社:河出書房新社

出版年月日:2023/2/25


セルフマネジメントで重要なのが自分自身の感情のコントロール、メンタルマネジメントです。


本書は、メンタルヘルス先進国であるイギリスで大人気の心理学者・臨床心理士ジュリー・スミスによるセルフケアガイドです。「コンパッション・フォーカスト・セラピー(CFT)」や「マインドフルネス」など最新の臨床心理学の知見を取り入れながらも、読み手が納得できるよう、メンタルマネジメントについて実践的かつわかりやすく解説した内容になっています。


『アンガーマネジメント入門』

著者:安藤 俊介

出版社:朝日新聞出版

出版年月日:2016/9/7


セルフマネジメントでメンタルマネジメントと共に重要なのがアンガーマネジメントです。アンガー=怒りの感情は時として非常に強くなるため、ビジネスのセルフマネジメントではこれをコントロールすることが求められます。


本書は、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事をつとめる安藤俊介氏によるアンガーマネジメントの入門書です。「怒り」のコントロール術である「アンガーマネジメント」がわかりやすく実践しやすいよう解説されています。


『人生を変える行動科学セルフマネジメント』

著者:石田 淳

出版社:大和書房

出版年月日:2013/7/19


人生を変化させるために具体的なセルフマネジメントの方法をわかりやすく解説した本です。やめたい習慣、仕事スタイル、モチベーション、人間関係……科学的アプローチで、「意志」ではなく「行動」に変化を起こさせる実践的な方法を紹介しています。



セルフマネジメント研修のポイント


最近では、セルフマネジメント研修を取り入れたいという企業が増えています。セルフマネジメント研修を導入する際には以下のようなポイントに配慮しましょう。


  • 事前に参加者に研修の目的や意味を説明し理解してもらう

  • 実践的なトレーニングを取り入れる

  • 階層別に研修メニューをアレンジする


セルフマネジメント研修を行う際には、事前に研修参加者に研修の目的や意味をしっかり説明し理解して参加してもらうようにしましょう。


そのうえでロールプレイやグループワーキングなど実践的なトレーニングメニューを取り入れます。アンガーマネジメントやストレスコントロールなど、研修参加者が感情を揺さぶられるような場面があるかもしれませんので、研修の目的をしっかり理解して、自分を冷静に客観視できるようにしておくことが大切です。


「仕事でのセルフマネジメント」で解説したとおり、セルフマネジメントの構成要素はレジリエンスからキャリアデザインまで多岐に渡ります。研修メニューは参加者の役職や階層に合わせてアレンジしましょう。


若手社員にも業務をこなすうえで基本のセルフマネジメントは必要ですし、管理職やマネジメント層になればさらに高いレベルでのセルフマネジメント力が求められます。





【まとめ】セルフマネジメント能力は誰でも高められる


セルフマネジメントの意味や能力が高い人の特徴、セルフマネジメント能力の高め方や研修のやり方などを解説しました。


リモートワークやテレワークの普及、DX化による効率性や生産性のアップなどから、ビジネスマンにはこれまで以上に高いセルフマネジメント能力が求められています。


ドラッカーがいうとおり、セルフマネジメントは経営者にとって必須の能力ですが、才能ではなく習慣によって高められる能力でもあります。


セルフマネジメント能力は習慣と努力で誰でも高められる一方で、自分一人の力で自ら律するのは難しい面もあるため、企業側が研修やトレーニングのサポートを行うことが大切です。


アイデンティティー・パートナーズでは、セルフマネジメントなど企業の課題やニーズに合わせた人材育成メニューや研修コンテンツを提供しています。


綿密にゴールを見据え、企業の経営者や人事部の皆様のご要望や目的を確認しながら調整を行いプログラムをオーダーメイド可能ですので、ぜひ一度お問い合わせください。


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