ビジネスにおけるコミュニケーションは、効果的な運営、成長、競争力の維持に欠かせない要素であり、個人や組織が目標を達成するためには、コミュニケーションスキルの向上が不可欠です。しかし、コミュニケーションの難しさを実感するビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。
複雑な関係構築、意見の違いや対立など、ビジネス環境はしばしば高いストレスとプレッシャーにさらされるものです。ストレス下でのコミュニケーションは、感情的な反応やミスコミュニケーションを引き起こす可能性が高まります。できれば実りのないコミュニケーションは避けたいものです。
コミュニケーションは練習が必要なスキルであり、日常的な実践が向上につながります。日ごろから効果的なコミュニケーションを実践するために気を付けると効果的な、いくつかのポイントがあります。そこで、もうすでに知っている内容だと思われるかもしれませんが、必要なポイントを改めてふり返ってみましょう。
【 目 次 】
コミュニケーションに必要なポイント
1、聴く力を鍛える:
・聴くことはコミュニケーションの基本です。相手の話に注意深く耳を傾け、理解しようと努力しましょう。
・質問を通じて相手の意見や感情を引き出し、対話を深化させることが大切です。
2、明確で具体的な表現:
・自分の意見や情報を明確かつ具体的に伝えることが重要です。曖昧な表現や抽象的な言葉遣いは誤解を生む可能性があります。
3、身体言語に注意:
・身体言語、表情、ジェスチャー、姿勢などもコミュニケーションの一部です。自分の非言語コミュニケーションを意識し、相手の非言語サインを読むことが大切です。
4、エンパシー(共感)を持つ:
・相手の立場や感情に共感し、理解することは信頼を築く手助けになります。エンパシーを持ちましょう。
5、フィードバックを求める:
・自分のコミュニケーションスキルを向上させるために、フィードバックを積極的に求めましょう。同僚や上司からのフィードバックは貴重です。
6、文化的な異同を尊重:
・グローバルな環境で働く場合、異なる文化や言語を尊重し、相手の文化的背景を理解することが重要です。
7、目標を明確にする:
・コミュニケーションの目的や目標を明確にしましょう。何を伝えたいのか、何を達成したいのかを考えてからコミュニケーションを行いましょう。
8、ストレス管理:
・ストレス下ではコミュニケーションが難しくなります。ストレスを管理し、冷静な状態でコミュニケーションを行うよう努力しましょう。
9、フレキシビリティ(柔軟性):
・相手のコミュニケーションスタイルやニーズに合わせてフレキシブルに対応しましょう。一つのアプローチがすべての状況に適しているわけではありません。
10、継続的な学び:
・コミュニケーションスキルは継続的に向上させる必要があります。読書、トレーニング、ワークショップなどを通じて学びを深めましょう。
これらのポイントを実践し、日常的にコミュニケーションスキルを磨くことで、ビジネスや個人の目標達成に寄与することができます。それでは、ポイントを実践するために、自分の状態の整え方についてみていきましょう。
「状態」とは何かを考える
コミュニケーションにおいて、状態は非常に重要な要素です。自分がその瞬間にいるあり方は、自身のコミュニケーションに大きな影響を与えます。状態は、生理機能、思考、そして感情から生じる創発的な特性です。コミュニケーションにおいて、相手にどのような印象を与えるかは、自身の状態に依存することが多いです。
状態は穏やかでリラックスしているものから、激しく怒りや動揺しているものまでさまざまです。穏やかな状態であれば、よりクリアで効果的なコミュニケーションが可能ですが、状態が激しいか、緊張している場合は、思考が混乱し、感情的なエネルギーが増します。したがって、コミュニケーションにおいて、望ましい状態を維持したいというのは重要ですが、状態は常に変化します。
私たちは、状態が外部の出来事によって引き起こされると感じることがありますが、実際には自分自身で状態を作り出していることに気付く必要があります。そして、状態を変える能力を持っています。
状態を変えたい場合に役立つ方法
状態に気づくこと:
自身の状態に関心を持ち、客観的に観察することが大切です。自分の状態を意識することは、効果的なコミュニケーションの第一歩です。
思考を変える:
幸せな状態や成功体験を思い出すことで、状態を変えることができます。思考を変えることはコミュニケーションにおいても重要です。
生理機能を変える:
心と体は一つのシステムなので生理機能を変えると思考も変わります。おのずとコミュニケーションにも変化が現れます。自分自身があたかも違う人になったように行動してみたり、姿勢や歩くスピードを変えてみましょう。
動く:
運動は、ベータエンドルフィン*を放出しますので気分を向上させる助けになります。活気と自信を持つために適度な運動は役立ちます。
※ベータエンドルフィン:脳内で働く神経伝達物質の一種。鎮痛効果や気分の高揚・幸福感などが得られるため、脳内麻薬とも呼ばれます。
呼吸を整える:
深い呼吸や呼吸法を用いて心を静めることができます。リラックスした状態でのコミュニケーションはコントロールが可能です。
状態を変えたい場合に役立つ方法を確認しました。状態を変えることによってコミュニケーションにプラスの影響を与えることができます。自身の状態に気を配り、適切な状態を維持することも重要で、コミュニケーションスキルの向上に役立ちますので、ぜひ試してみてください。
コミュニケーションスキルと状態管理の向上は、ビジネスにおける成功に欠かせない要素であり、信頼の構築、問題の解決、協力の促進、リーダーシップ、個人の成長など、多くの側面でプラスの影響をもたらします。これらのスキルを磨くことは、個人と組織の両方にとって大きな価値をもたらすことでしょう。
わたし・みらい・創造センターでは、対話の研究を進め、「自己との対話」「他者との対話」「社会との対話」を軸にした人材開発、組織開発のサービスを提供することで、企業の中で働く人々の、創造的な活動と相互理解を促進させていきます。
▼この記事を書いた人
佐藤 純子(さとう じゅんこ)
SBIビジネス・イノベーター株式会社 「わたし・みらい・創造センター(企業教育総合研究所)」
センター長
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