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経営戦略を“現場レベル”で実行に移すには?戦略浸透を加速させる構造のつくり方

  • 執筆者の写真: なつき 高橋
    なつき 高橋
  • 11月12日
  • 読了時間: 5分

更新日:46false59 GMT+0000 (Coordinated Universal Time)


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経営戦略を立てても、現場の行動が変わらない……。多くの組織が抱えるこの課題は、「伝え方」ではなく「構造」に原因があります。経営層の意図を現場が理解し、日々の業務に落とし込むには、戦略を“見える仕組み”で共有することが欠かせません。本記事では、経営戦略を現場レベルで実行に移すためのポイントと、実践に役立つ具体的な手法を紹介します。


【 目 次 】



なぜ経営戦略が現場に浸透しないのか

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戦略が現場で実行されない最大の理由は、経営の意図が一方的な伝達や抽象的な目標にとどまっていて、「構造として理解されていない」ことにあります。

経営層と現場では、扱う情報の粒度や重視する指標が異なるため、戦略が届いても「自分の仕事にどう関係するのか」が見えづらくなります。さらに、部門ごとに異なるKPIを追う“縦割り構造”も、戦略実行を阻む要因です。

日本能率協会の「当面する企業経営課題に関する調査(2023)」でも、多くの企業が「ミッション・ビジョン・バリューの浸透」や「現場力の強化」を重要課題として挙げています。これは、戦略が単なるメッセージ共有ではなく、経営と現場をつなぐ“構造設計”の問題であることを示唆しています。


出典:一般社団法人 日本能率協会(2023)『第44回 当面する企業経営課題に関する調査』



戦略を実行に移すための3つの仕組み

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戦略実行を支えるのは、「構造の可視化」「行動との接続」「双方向の対話」の3要素です。


1. 戦略を“構造化”して見せる

経営戦略を図やフレームワークで示すことで、現場の理解は大きく変わります。特に「ビジネスモデルキャンバス」(※)を使って、自社の価値提供・収益構造・顧客関係を一枚に整理すると、社員は「自分の仕事がどの仕組みの一部なのか」を直感的に理解できます。


※ ビジネスモデルキャンバスとは?

経営学者アレックス・オスターワルダーが提唱したフレームワークで、事業を「顧客」「価値提案」「チャネル」「収益」など9つの要素で整理する手法です。戦略を“構造で見せる”ことで、経営層と現場の認識をそろえることができます。


2. 現場の行動と経営目標を結びつける

戦略が抽象的なスローガンに終わると、行動が変わりません。重要なのは、「経営目標」を具体的なKPIや日常業務にまで落とし込むことです。たとえば「顧客価値の最大化」という方針を掲げるなら、営業チームでは「顧客課題ヒアリングの頻度を週1回に設定」といった形で行動基準を定義します。この“翻訳プロセス”があることで、戦略が「実践」へと変わります。


3. 対話で理解を深める

一方的な通達では、戦略は伝わっても「納得」にはつながりません。月1回のタウンホールミーティングや、役員との少人数ディスカッションを通じて、社員が経営の意図を自分の言葉で再解釈する機会をつくることが重要です。この“対話の仕組み”がある組織ほど、現場が自律的に動き始める傾向があります。



成功事例:ビジネスモデル思考プログラムの実践効果

経営と現場をつなぐ研修として、フレームワークによる“構造化”が大きな効果を発揮しています。

ある企業では、管理職層を対象にビジネスモデル思考プログラムを導入し、自社の事業構造を一枚で整理する演習を実施しました。

プログラムを通じて、参加者は「自社の経営資源やバリューチェーン上の強みを再認識し、自部門がどの構造要素に貢献しているのかを語れるようになった」と報告しています。

このように、経営視点を“構造で共有する”研修は、戦略浸透と組織全体の一体感を高める有効な手段です。


アイデンティティ・パートナーズ|ビジネスモデル思考プログラム より



戦略実行を支える研修設計のポイント

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戦略実行に強い研修は、「実践型」「越境型」「アウトプット重視」の3条件を備えています。


  1. 実践型ワークショップであること

    経営テーマを自社の具体的課題として扱い、現場に持ち帰って実践できる成果物をつくる。


  1. 部門横断の構成であること

    他部署や異分野との協働を通じて、サイロ化を解消し、共通認識と新しい発想を生み出す。


  1. アウトプットと振り返りをセットで行うこと

    アクションプランを立て、現場での実践・検証・共有を繰り返すことで、戦略が行動として定着する。


みずほリサーチ&テクノロジーズの報告書(2022)でも、次世代リーダー育成において「越境学習」や「実践を通じた経験学習」の重要性が指摘されています。組織の枠を超えて課題に向き合い、実践と振り返りを通して学びを深めることが、戦略を現場レベルで動かす力になるのです。


出典:みずほリサーチ&テクノロジーズ(2022)『越境学習は、今後の次世代リーダー育成に何をもたらすのか』



よくある質問(FAQ)

Q1. なぜ戦略が現場で実行されないのですか?

A. 戦略の構造が共有されておらず、「自分の仕事にどう関係するのか」が見えていないためです。


Q2. 戦略を現場に伝える最も効果的な方法は?

A. フレームワークで経営構造を可視化し、行動レベルのKPIと接続させることです。


Q3. どのくらいで効果が出ますか?

A.継続的な研修と対話を経て、現場の判断・発言・行動に変化が現れます。3〜6か月が目安です。



まとめ:経営と現場をつなぐ「見える仕組み」を持つ

戦略を浸透させるには、“見える化・つながる化・話し合う化”の3つが必要です。

経営戦略は「伝える」だけでは機能しません。構造を可視化し、現場の言葉に翻訳し、双方向の対話で育てることで初めて、組織全体が同じ方向に動き出します。ビジネスモデル思考プログラムのように、経営と現場の間に“共通の構造”を持つ仕組みが、戦略実行を加速させる鍵となります。


本記事で紹介した内容は、当社の「ビジネスモデル思考プログラム」で体系的に学べます。プログラムの詳細・導入事例は以下からご覧ください。


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