部下とコミュニケーションがうまくとれない?部下との信頼関係を築く方法と心がけたいポイント
- なつき 高橋
- 11月12日
- 読了時間: 10分

「部下とうまくコミュニケーションがとれない」
「何を話せばいいかわからない」
このような悩みを抱える上司は少なくありません。信頼関係を築くには、特別な会話術よりも、日々の姿勢や小さな心がけが大切です。
本コラムでは、コミュニケーション不足の原因から、雑談や声かけなど実践的な改善方法、タイプ別の接し方までわかりやすく解説します。日常業務で実践可能な対話のポイントを押さえ、部下との関係構築を促進しましょう。
【 目 次 】
コミュニケーション不足で部下が辞める上司の特徴
部下が心を閉ざすきっかけと職場環境の影響
上司が部下に言ってはいけない言葉・逆効果の行動
傾聴する姿勢と相手の話を遮らない意識
承認・感謝の言葉を伝える習慣
ポジティブな言葉選びと態度
雑談を活用して信頼関係を深めるコツ
毎日の小さな声かけで関係を強化する
相談や悩みに寄り添う姿勢を見せる
ビジュアルを使ったコミュニケーション
女性部下とのコミュニケーションはどうすればいい?
年上の部下とのコミュケーションで気をつけるべきポイント
部下からコミュニケーションを拒否されたら?
部下とコミュニケーションがとれない原因とは

部下とうまくコミュニケーションがとれない背景には、上司側の思い込みや環境要因が隠れています。
多くの場合、「自分はきちんと伝えている」と思っていても、部下はそう感じていません。
ここでは、コミュニケーション不足が生まれる主な原因と、その裏にある心理的な要因を整理します。関係性が悪化する前に、管理職として見直すべきポイントを把握しておくことが重要です。
コミュニケーション不足で部下が辞める上司の特徴
部下が離職を考える大きな理由のひとつが、上司とのコミュニケーション不足です。
特に「話を聞いてもらえない」「一方的に指示されるだけ」と感じると、信頼関係は一気に崩れます。上司が忙しさを理由に雑談や声かけを省くと、部下は疎外感を覚え、相談もしづらくなります。
結果としてモチベーションが下がり、職場への帰属意識も薄れてしまいます。日常のささいな対話が、離職防止における重要な要素となります。
部下が心を閉ざすきっかけと職場環境の影響
部下が心を閉ざす背景には、職場環境のストレスや心理的安全性の欠如があります。
たとえば、発言が否定されやすい雰囲気や、意見を聞いてもらえない状況が続くと、部下は「どうせ意見を述べても無駄だ」と感じてしまいます。
また、上司が結果だけを求め、過程を評価しない場合も同様です。上司が部下の失敗を受け入れ、努力を正当に評価する姿勢を示すことで、部下は安心して再び意見を表明できるようになります。
上司が部下に言ってはいけない言葉・逆効果の行動
部下のやる気を削ぐ原因として、上司の何気ない言葉や態度が挙げられます。
「なぜこの程度のことができないのか」「前にも言ったよね」といった否定的な言葉は、萎縮や反発を招きます。また、比較や皮肉を交えた指摘も逆効果です。指導の場では、まず行動の背景を理解し、改善策を一緒に考える姿勢が大切です。叱責ではなく支援的な言葉を用いることで、部下は安心して成長課題に向き合えるようになります。
トラブルが起きたときの部下への対話方法については、以下のコラムを参考にしてください。
部下とのコミュニケーションで心がけたいポイント

部下との信頼関係を築くためには、テクニックよりも日々の姿勢や心がけが重要です。
どれだけ話し合いの場を設けても、上司の姿勢が伝わらなければ本当のコミュニケーションは生まれません。
ここでは、部下のやる気や安心感を引き出すために上司が意識すべき3つの基本ポイントを紹介します。
傾聴する姿勢と相手の話を遮らない意識
管理職として最初に意識すべきポイントは「傾聴」です。
「アクティブリスニング」(積極的傾聴)の概念を提唱したカール・ロジャースは、傾聴において聞き手が意識すべき3つのポイントを挙げています。
共感的理解 | 相手の立場と気持ちに寄り添う姿勢 |
無条件の肯定的関心 | 自分の好き嫌いや価値判断をいれずフラットな姿勢で関心をもつ |
自己一致 | 裏表や自己矛盾がなく一貫した態度をとる |
傾聴とは、相手の話をただ聞くのではなく、理解しようとする姿勢を持って耳を傾けることです。部下の話を途中で遮ったり、すぐに自分の意見を挟んだりすると、相手は「どうせ聞いてもらえない」と感じてしまいます。相づちを打ちながら最後まで聞くことで、部下は安心して本音を話せます。
傾聴力は、信頼関係の構築において最も基本的かつ重要なスキルです。
※参考:『行動傾向分析で磨く 個性を活かすリーダーのコミュニケーション』 余語まりあ(同文館出版)
承認・感謝の言葉を伝える習慣
部下とのコミュニケーションを深めるうえで欠かせないのが、「承認」と「感謝の言葉」です。
上司からの「ありがとう」「助かった」などの一言は、想像以上に部下のモチベーション向上に寄与します。小さな成果や努力を見逃さず、こまめに声をかけることが大切です。
人は認められることで自信を持ち、主体的に行動できるようになります。感謝の言葉を日常的に伝える習慣は、チーム全体の雰囲気を向上させる第一歩となります。
ポジティブな言葉選びと態度
上司の言葉や態度は、職場全体の空気を大きく左右します。
否定的な言葉(例:「無理だ」「できない」)が多く使われる職場では、部下が萎縮しやすくなります。反対に、「やってみよう」「一緒に考えよう」といった前向きな言葉を使うことで、安心感と挑戦意欲が生まれます。
感情的にならず穏やかなトーンで話すことも大切です。ポジティブな言葉選びは、部下の成長を支えるだけでなく、上司に対する信頼を高める要因にもなります。
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部下とのコミュニケーションを深める方法と事例

部下との関係性を深めるためには、日常業務における自然な交流の積み重ねが不可欠です。
指示や報告だけのやり取りでは、信頼関係は築けません。
ここでは、雑談や声かけ、相談対応など、すぐに実践できる具体的なコミュニケーションの方法と成功事例を紹介します。
雑談を活用して信頼関係を深めるコツ
雑談は、業務以外の会話を通して部下の人となりを理解し、心理的な距離を縮める効果があります。たとえば「最近どう?」といった軽い声かけでも、上司に対する親近感が醸成されます。
ポイントは、無理に話題を作らず、相手の興味や生活に関する話を自然に取り入れることです。天気や趣味、ニュースなどの軽い話題で構いません。
雑談をきっかけに上司が部下に関心を持っていると伝わることで、信頼関係がより深まります。
毎日の小さな声かけで関係を強化する
「おはよう」「助かったよ」「いいね、そのやり方」といった日常の短い声かけには、部下を前向きにする力があります。
上司が積極的に声をかけることで、部下は安心して意見を伝えやすくなります。特に、成果だけでなくプロセスや努力を評価する言葉を意識すると効果的です。
小さなコミュニケーションの積み重ねが、部下の信頼を生み、チーム全体の士気向上につながります。声かけは「最も手軽で強力なマネジメントツール」といえるでしょう。
相談や悩みに寄り添う姿勢を見せる
部下の相談を受けるときは、「解決すること」よりも「話を受け止めること」を意識しましょう。
悩みを真剣に聞き、否定せず共感を示すだけでも、部下の安心感は大きく高まります。上司がすぐに結論を出そうとせず、「それは大変だったね」「どう感じた?」と寄り添う姿勢を見せることが大切です。
こうした丁寧な対話の積み重ねが、信頼関係の強化につながります。
ビジュアルを使ったコミュニケーション
言葉だけでは伝わりにくい内容は、図・メモ・チャートなどのビジュアルを活用すると効果的です。資料やホワイトボードを使って要点を整理すると、理解のズレを防ぎ、部下の納得感を高められます。
特にオンライン会議では、共有画面やチャットで視覚的に補足することで、意図がより明確になります。視覚情報を取り入れたコミュニケーションは、「わかりやすい上司」という信頼を生み、チーム全体の生産性向上にもつながります。
部下とのコミュニケーションの悩みQ&A

部下とのコミュニケーションに課題を感じている管理職・上司は少なくありません。
最後に、部下とのコミュニケーションがうまくいかない、と感じる際の具体的な事象や原因について、よくある疑問や悩みをQ&A方式でまとめてみましたので、参考にしてください。
女性部下とのコミュニケーションはどうすればいい?
男性上司にとって、女性部下とのコミュニケーションは「距離が近すぎることで誤解を招くのではないか」と懸念し、接し方に戸惑うケースもあるでしょう。
確かに、親しさのつもりがセクハラと受け取られるリスクもあるため、慎重さは必要です。
しかし、性別を意識しすぎて距離を取りすぎると、信頼関係を築くことはできません。大切なのは、あくまで職場の一員として対等に接し、共感をもって話を聞くことです。
成果や努力を正当に評価し、仕事の話を中心に丁寧なコミュニケーションを心がけることで、自然と信頼が深まります。
年上の部下とのコミュニケーションで気をつけるべきポイントは?
部下が自分より年上だと、どうしても気を遣ってしまう上司は多いものです。年齢差により、遠慮が生じて指示や助言を伝えにくくなることも想定されます。
こうした関係を円滑にするには、まず「上下関係」よりも「経験の違い」と捉える意識が大切です。相手のスキルや実績を尊重し、「これまでのやり方を教えてもらえますか?」といった姿勢で対話を始めましょう。
そのうえで、役職としての責任を果たす姿勢を示すことで、自然と信頼が生まれます。謙虚さと誠実さを軸にすれば、年齢差を超えた良好な関係が築けます。
部下からコミュニケーションを拒否されたら?
部下に話しかけても反応が薄かったり避けられたりすると、戸惑う方も多いでしょう。
若い世代のなかには、職場における積極的なコミュニケーションを好まない傾向が見られる場合もあります。
まず大切なのは、無理に距離を縮めようとしないことです。信頼を取り戻すには、挨拶や軽い雑談などの小さな接点を少しずつ増やすのが効果的です。
同時に、過去の言動で不快にさせていないかを振り返ることも必要です。焦らず誠実な対応を続けることで、部下の心は徐々に開いていきます。
新入社員など若い世代の部下との接し方やコミュニケーションについては、以下のコラムも参考にしてください。
「Z世代の特徴とは? 新入社員との関わり方で意識したいこと」
「α(アルファ)世代とは?特徴や何歳に当たるのか、Z世代との違いを解説」
【まとめ】部下とのコミュニケーションを見直し、信頼関係を築くには
部下とのコミュニケーションは、特別なスキルよりも日々の姿勢が何より大切です。傾聴や感謝の言葉、雑談など、ちょっとした行動の積み重ねが信頼を育てます。
関係がうまくいかないと感じたときは、相手を変えようとする前に、自分の言葉や態度を振り返ることが改善の第一歩です。上司として誠実に向き合う姿勢こそが、チームの雰囲気を変え、部下の成長と組織の成果を引き出す原動力になります。
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