「今日用事が急に入っちゃったんで帰りますね」
超繁忙期のド期末。全員躍起になって残業仕事しているときに新入社員が帰ってしまったことにモヤモヤしている……。
こういう声を先輩や上司の立場の方から実際によく聞きます。
定時で帰るなとは言わないし、言えないけれど、周囲を見て状況を推し量る気持ちはないのかと。
おっしゃることはよくわかりますが、これは新入社員に対する周囲の関わり方に課題があるかもしれません。
今回は、いわゆる「Z世代」と言われる新入社員との関わり方について考えたいと思います。
【 目 次 】
そもそもZ世代ってどんな世代?
1990年後半頃から2012年頃に生まれた世代。日本では現在だいたい25歳以下くらいの若手層が該当するようです。
小さい頃からデジタル機器を生活の一部として扱い、インターネット、スマートフォン、SNSとともに成長してきている世代で、“デジタルネイティブ”と呼ばれています。
そう考えると私の息子もZ世代。小さい頃から親のスマホに慣れ親しみ、テレビの画面も指でスクロールするなんてことがよくありました。
この世代は、世界人口の約3割を形成する世代でこれからのマーケットやビジネス環境に大きな影響を与えていく層だとも言われています。
Z世代の特徴は?
弊社の実施した『新入社員現状調査』(2023年版)によると、Z世代には以下のような特徴があります。
やりがいや充実感を得たいと思っている
スペシャリスト志向が強い‐自分の能力を高めることに貪欲である
自分らしく働きたいと思っている
上司や先輩からは丁寧な指導をしてもらいたいと思っている
キャリアに保守的、安定志向である
協働、協力し合える環境を望む(競争は望まない)
社会貢献度が高い職種に就きたいと思っている
Z世代の方々は話の内容を理解する力が高いです。能力を高めたいと思っているなど上昇志向も旺盛です。しかし、そこに至るまでのコミュニケーションはこれまで以上に丁寧にする必要があります。
Z世代との関わり方には「手間をかける」
「理屈はいいから、とにかくやってこいよ」
「走りながら考えろ」
私の新人時代は、こんなことを言われて育ちました。
上司や先輩がいちいちそこに意味を持たせてくれるわけではなく、よくわからない勢いだけの指示が飛んでくる。しかしそれを拾うしかない…の繰り返し。
いまから考えると、あれでよく成り立っていたものです。そんなマネジメントでも業績が上がるいい時代だったのだと思います。
ですが、もうそんな時代ではないんですよね。
目的
プロセスにおける予見(障壁・課題)と解決策
ゴール
このあたりが明確に説明できないと、とくにZ世代の新入社員は動けませんし、ついてこられないと思います。冒頭で出てきた新入社員も、仕事における目的やプロセスが日ごろから共有されていたら帰らずに残ってくれたかもしれません。
新入社員は社会経験が浅く、周囲を見渡せる視野の広さはありません。いろいろ手間はかかるのですが、時間をかけて関わっていかなければならないのです。
世代間ギャップを超えろ
1960年代生まれ以降Z世代までの間には、
1960年代生まれ「新人類」
1965~67年生まれ「バブル世代」
1971~74年生まれ「団塊ジュニア世代」
1971~84年生まれ「就職氷河期世代」
1980~90年生まれ「ミレニアル世代」
1987~2004年生まれ「ゆとり世代」
……とさまざまな呼び名の世代があります。
おそらくですが、いま企業内では中間層の「ミレニアル世代」や「ゆとり世代」の数が少なく、「団塊ジュニア」以前の世代がZ世代とじかに接点を持つような状態になっているのではないでしょうか。
当然ながら、生きてきた時代背景が異なるため、アプローチの仕方ひとつで関係性がうまくいかなくなることもあるでしょう。
「わたしの新人時代はさあ……」と思わず言ってしまいたくなる気持ちを押さえつつ、コマメなコミュニケーションが必要になりますね。
(しかしあまりコマメにコミュニケーションを取ろうとすると今度はうざいと思われる。難しい!)
Z世代とのコミュニケーションを考え直す
仕事だけでなく、プライベートの価値観も含めて相手を尊重するスタンス。Z世代との関係においてはこれが大前提になります。彼らはとくに多様性を重視する傾向があるため、価値観を広く受け入れてくれる人を好みます。
そのために有効な手法が「対話」です。
「仕事とはこういうものだ」と上から威圧的に伝えるのではなく、対話を通して相手の価値観を踏まえた伝え方をすることが必要なのです。
私たち、アイデンティティー・パートナーズでは組織で働く方々の「対話」を通じ、組織を活性化させ、企業の競争優位性を取り戻す研修・コンサルティング・スクール等のソリューションを提供しております。
詳しくは下記資料をご覧ください。
Z世代への接し方の注意点
Z世代への接し方として注意したい点があります。「権利」と「義務」のバランスです。
相手の価値観=「権利」を尊重する一方で、会社という組織に所属する以上、仕事に対しての「義務」は必ず発生します。
「権利」と「義務」。どちらか一方だけに偏らないように注意しながら指導していくバランス感覚。これからの新入社員との関わりには欠かせない感覚になるでしょう。
▼この記事を書いた人
齊藤 理美(さいとう まさみ)
アイデンティティー・パートナーズ株式会社 わたし・みらい・創造センター(企業教育総合研究所) 専任講師/コーチ
〈プロフィール〉
業界大手の求人情報サービス会社に新卒営業職として入社。12年間リテール市場を専門に担当。その後、若手営業パーソン向けの営業研修を手掛けたことをきっかけに同社の事業企画室にて営業部門長を対象としたマネジメント研修の策定・運用に関わる。 のちに、事業会社の人事部等に所属し、人材教育・人材育成に注力、新入社員~中堅、上位層までの階層別研修の策定と運用(講師含む)を行う。 2006年コーチの資格を取得、事業会社内および一般個人に対してもコーチングやコーチングをベースとした研修運用実績も持つ。事業会社では数名~340名の組織の部次長、事業本部長を経験。 現在はSBIビジネス・イノベーターにて、教育ソリューション事業本部のプログラムマネジメントグループマネージャーとしてプログラム開発と運用(講師含む)に関わる。
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