「わたし・みらい・創造センター(企業教育総合研究所)」
専任講師の齊藤です。
今日は私が20代半ばで大きな影響を受けた上司のお話をしたいと思います。
【 目 次 】
ちょっとした声掛け
彼は事業会社の神奈川エリアの拠点をまとめる支部長で日々エリア内拠点を回りマネジメントをしていました。
私の所属する拠点に来ると必ずメンバーに一言二言声をかけます。
Aさんには「ひさしぶりだな。元気か?」
Bさんには「いまどの辺のクライアント当たってる?」
Cさんには「そういえば、この前〇〇に会ったぞ。あいつ変わってないな。」
相手が返事をしたところで会話(ものの3分程度)を終え、自分の業務をやり、2~3時間後にはまた別の拠点へと出て行きます。
接点はいつもわずかなものでしたが、私を含め拠点のメンバーたちはこの上司に信頼を寄せていました。
たまに営業同行などがあれば、短いながらも気づきを得られるような一言をかけてくれました。
直属上司のリーダーシップ不足に文句を言っていると、
「自分が(リーダーシップを発揮できるように)なればいいだろう?」
周囲からの批判が怖くて行動に迷いが生じているときには、
「自分が中途半端だから文句を言われる。出る杭は打たれるが、出過ぎた杭は打たれない。」
そうか、なるほど…。
彼のこういった言葉をきっかけに、ちょっとした意識の変化が起こったことをよく覚えています。
内側からの変化とは
「変化」には、自分から起こすものと外側からやってくるものがあります。
外側からやってくるものは、なんらかの対応を迫られるものであり、その多くが<要望(リクエスト)>になります。
しかし、<要望(リクエスト)>をすんなり受け入れられるかというと必ずしもそうではありません。
一般的には、<要望(リクエスト)>した途端、相手からなにかしらの抵抗を受けることもしばしばあります。
では、上司が<要望(リクエスト)>をメンバーに抵抗なく受け入れてもらうためにはどんなことが必要でしょうか。
それは、日頃から
「メンバーのためにちょっとした会話の時間を作る」
ということです。
上司は自分がメンバーのことを十分に知らないと認識しておく必要があります。
その前提でメンバーのことを考え、3分でも1分でも構わない、メンバーとの会話の時間を取ることが必要になるのです。
わざわざアポや場所を取る必要はありません。
立ち話でもデスク横でも電話でもいい、いま、その場で、その瞬間に、メンバーと短い会話を交わす。
「今日はどうだった?」
「業務には慣れた?」
「どこまでできた?」
メンバーの日常業務の流れに沿い、いま、その場の、目の前で起こっていることについて会話を交わす。
すると、わずかな瞬間でもメンバーと時間を共有することになり、<要望(リクエスト)>を抵抗なく受け入れてもらえるだけの信頼関係を築くことができるようになるのです。
とてもシンプルですが、メンバーと関わる時間を作ることを最優先させたマネジメント手法です。
…あれからかなりの年月が過ぎましたが若い私たちを導いてくれたあの上司は、“ネイティブ・コーチ”(潜在的にコーチの素質をもっている人のこと)だったのだと思います。
一見、他の人と同じようなコミュニケーションを交わしているように見えて、実はその「量・質」ともに大きな違いがあったのだと感じています。
▼この記事を書いた人
齊藤 理美(さいとう まさみ)
「わたし・みらい・創造センター(企業教育総合研究所)」専任講師&コーチ
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