レジリエンスとは?意味・高める方法を解説。おすすめ本も
- なつき 高橋
- 16 時間前
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レジリエンスは、ストレスや困難に直面したときに心を整え、前向きに立ち直る力のことで、ビジネスや日常生活のあらゆる場面で重要性が高まっています。
本コラムでは、レジリエンスの意味や背景、レジリエンスが高い人の特徴、企業における重要性、そして実践的に高める方法までをわかりやすく解説します。
さらに、学びを深めたい方に向けておすすめの本も紹介し、今日から実践できるヒントをまとめました。
【 目 次 】
レジリエンスの基本的な意味と語源(心理学・英語)
レジリエンスがビジネスで注目されている背景
レジリエンス認証とは
レジリエンスが高い人に共通する5つの特徴
逆境に強い人が持つ思考パターンと感情のコントロール法
レジリエンスを支える「自己効力感」「楽観性」「柔軟性」
VUCA時代に求められる「変化に強い人材」とは
組織レベルでレジリエンスを高めるメリット
レジリエンス研修とは
『レジリエンスの教科書 逆境をはね返す世界最強トレーニング』
『レジリエンス入門:折れない心のつくり方』
『リーダーのための「レジリエンス」入門』
『チームレジリエンス 困難と不確実性に強いチームのつくり方』
レジリエンスとは?その意味をわかりやすく解説

レジリエンスとは、困難やストレスを受けたときに、それを跳ね返し、元の状態やより良い状態に立ち直る力を指します。
英語の 「resilience」には「弾力性」「回復力」「適応力」といった意味があり、心理学・ビジネスの両分野で重要な概念とされています。
最初に、レジリエンスの意味や由来、ビジネスにおける注目の背景、そして「レジリエンス認証」について詳しく解説します。
レジリエンスの基本的な意味と語源(心理学・英語)
レジリエンス(resilience)は、もともとラテン語の 「resilire(跳ね返る・はねのける)」が語源で、英語では「弾力性」や「復元力」を意味します。
物理学では、外から力を加えて変形した物体がもとに戻ろうとする性質を指しますが、心理学ではこの概念を人の「精神的回復力」として応用しています。
すなわち、強いストレスや失敗、喪失といった逆境に直面したときに、それを受け止めながらも再び立ち上がり、柔軟に適応する力のことです。
単なる「我慢強さ」ではなく、経験から学びを得てより強く成長し続ける姿勢こそが、レジリエンスの本質だといえます。
参考:APA Dictionary of Psychology
レジリエンスがビジネスで注目されている背景
近年、ビジネスの現場でレジリエンスが注目される理由は、経済や社会環境の変化が激しく、先行きが予測しづらい「VUCA時代」に突入しているからです。
2013年の世界経済フォーラム(WEF)のグローバルリスク報告書では、「各国と企業がレジリエンス構築にもっと力を注ぐべき」という提言がなされ、レジリエンスという言葉が世界的に注目を集めました。
リスクがグローバルかつ多様化するなか、予測困難な状況下でも冷静に対処し、失敗を成長の糧とする力が強く求められています。
レジリエンスが高い人材は、ストレスに強く、チーム内の信頼関係を保ちながら生産性を維持できます。
また、企業にとっても、危機対応や組織変革を成功させるうえで、従業員一人ひとりのレジリエンスが不可欠です。
心理的安全性を重視する組織づくりや、メンタルヘルス施策の一環としても、レジリエンスが注目されています。
参考:World Economic Forum|Resilience: What it is and why it’s needed
レジリエンス認証とは
「レジリエンス認証」とは、企業や組織が社会的・経済的な危機に直面した際に、迅速かつ柔軟に対応できる仕組みや体制を整えているかを評価・認定する制度です。
日本では内閣官房国土強靭化推進室が進める「国土強靭化(ナショナル・レジリエンス)」の一環として、事業継続力を持つ企業を認定する「国土強靭化貢献団体認証(レジリエンス認証)」制度が運用されています。
これは、自然災害や感染症、サイバー攻撃などのリスクに備え、企業の社会的責任(CSR)や持続的経営を評価するものです。
認証を取得することで、取引先や顧客からの信頼性が高まり、組織全体のリスクマネジメント意識向上にもつながります。
参考:一般社団法人 レジリエンスジャパン推進協議会 |レジリエンス認証とは
「レジリエンスが高い」とは?レジリエンスが高い人の特徴と考え方

レジリエンスが高い人とは、ストレスや困難に直面しても冷静に対応し、柔軟に対応しながら前向きな行動を継続できる人を指します。
単に「我慢強い」わけではなく、自身の感情を適切に整理し、環境の変化に柔軟に対応しながら成長を続けられる点が特徴です。
近年では、変化が激しいビジネス環境や人間関係のなかで、レジリエンスの高さが成果や幸福度に大きくかかわることがわかってきました。
ここでは、レジリエンスが高い人の特徴や考え方、そしてその基盤となる心理的要素を具体的に見ていきましょう。
レジリエンスが高い人に共通する5つの特徴
レジリエンスが高い人には、いくつかの共通点があります。
第一に「自己理解力」が高く、自分の感情や思考のパターンを客観的に把握できること。
第二に「柔軟な思考力」を持ち、失敗やトラブルを一面的に捉えず、多角的に考える姿勢があります。
第三に「前向きな姿勢」を保ち、小さな成功や感謝を意識してモチベーションを維持します。
第四に「他者とのつながり」を大切にし、必要なときにサポートを求められます。
そして最後に「目的意識」が明確で、困難を自分の成長につなげようとする内的な強さを持っています。
これらの特徴は、訓練や経験を通して高めることが可能です。
逆境に強い人が持つ思考パターンと感情のコントロール法
逆境に強い人は、「状況を変えられないときは自分の受け止め方を変える」という柔軟性を備えています。
感情を抑え込むのではなく、まず「いまの自分は何を感じているか」を認識し、落ち着いて対処するのが特徴です。
また、深呼吸、マインドフルネス、アンガーマネジメントなどの手法を取り入れ、感情の自己調整能力を高めています。
アンガーマネジメントの効果ややり方については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
▼関連記事
アンガーマネジメントとは?怒りをコントロールするやり方・診断・研修などについて解説https://www.idp-inc.co.jp/post/angermanagement
レジリエンスを支える「自己効力感」「楽観性」「柔軟性」
レジリエンスの高さを支える基盤には、「自己効力感」「楽観性」「柔軟性」という3つの心理的資質があります。
・自己効力感
「自分にはできる」という認知的な自信であり、困難な状況においても主体的な行動を促す原動力です。
・楽観性
問題を悲観的に捉えず、解決可能だと信じる前向きな姿勢を意味します。
・柔軟性
環境や人間関係の変化に応じて考え方や行動を調整できる力です。
「自己効力感」「楽観性」「柔軟性」の3つの力が相互に作用することで、レジリエンスは一層強化され、変化への適応力や回復力が高まります。
ビジネスにおけるレジリエンスの重要性と活かし方

現代のビジネス環境は、不確実性・複雑性・変動性が高まる「VUCA時代」と呼ばれています。
このような時代において、予期せぬ変化やトラブルに直面しても冷静に対応し、前向きに立ち直る力=レジリエンスが求められています。
ここでは、ビジネスパーソンに求められる「変化に強い人材像」と、企業レベルでレジリエンスを高めるメリット、そして注目されるレジリエンス研修について解説します。
VUCA時代に求められる「変化に強い人材」とは
VUCAとは、「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字をとった言葉で、現代社会の特徴を表します。
VUCAのような不確実な環境では、過去の成功体験やマニュアル通りの対応だけでは通用しません。
変化に強い人材とは、失敗を恐れず挑戦し、状況に応じて柔軟に思考・行動を切り替えられる人を指します。
さらに、課題を前向きに捉え、チームメンバーと協力して最善の解決策を導き出せる「心理的レジリエンス」を持つことも重要です。
企業はこうした人材を育てることで、変化への対応力と組織全体の持続的成長を高められます。
組織レベルでレジリエンスを高めるメリット
組織としてのレジリエンスが高い企業は、外部環境の変化や危機的状況にも強く、長期的に成長し続ける傾向があります。
たとえば、自然災害や経済変動、パンデミックなどの突発的な出来事に対しても、冷静にリスクを把握し、迅速に意思決定を行える点が特徴です。
また、レジリエンスの高い職場では、社員一人ひとりが心理的安全性を確保しやすく、率直な意見交換が促進される風通しの良い組織文化が醸成されます。
組織の風通しがよくなれば、離職率の低下や生産性の向上、イノベーションの促進といった好循環も期待できるでしょう。
組織全体でレジリエンスを高めることは、単なる危機対応にとどまらず、「変化を生かす経営力」そのものを育てることにつながるのです。
レジリエンス研修とは
レジリエンス研修とは、社員の「精神的回復力」「ストレス耐性」「柔軟な思考力」を育てるための人材育成プログラムです。
個人がプレッシャーや失敗を乗り越える力を身につけることを目的とし、心理学やポジティブ思考、マインドフルネスなどを取り入れた内容が多く見られます。
研修では、自己理解を深めるワークや、失敗を成長の糧に変えるリフレーミング(捉え直し)トレーニング、チームで支え合うコミュニケーション演習などが行われます。
レジリエンス研修の導入は、社員のメンタルヘルス支援にとどまらず、挑戦を歓迎する組織風土や、柔軟かつ持続可能な組織文化の醸成にも寄与します。
レジリエンスを高める・学べるおすすめ本

レジリエンスを理解し、実践的に高めたい方には、専門家による理論と具体的なトレーニング法を学べる書籍が最適です。
ここでは、ビジネスパーソンからリーダー、チームマネジメントを担う人まで、幅広い層におすすめできる4冊を紹介します。
『レジリエンスの教科書 逆境をはね返す世界最強トレーニング』
著者:カレン・ライビッチ、アンドリュー・シャテー、宇野 カオリ(訳)
出版社:草思社
出版年月:2015/06
本書は、米国ペンシルベニア大学で実証された「レジリエンス・トレーニング」プログラムに基づき、あらゆる逆境を「跳ね返す力=レジリエンス」を身につけるための最強の指南書です。
7つのスキル(思考の罠を避ける、自分を ABC 分析する、根底の信念を見直す、心を静めて瞬時に対応するなど)を具体的なワークシートやセルフチェック付きで解説しており、仕事・家庭・人間関係など多様な場面での実践が可能です。
実証データを裏付けとして持つ構成で、読む「だけ」ではなく「使える」レジリエンス力を育てたい人に最適な一冊といえるでしょう。
『レジリエンス入門:折れない心のつくり方』
著者:内田 和俊
出版社:筑摩書房(ちくまプリマー新書 262)
出版年月:2016/09
著者の内田和俊氏は、学習塾経営を経て人材育成・企業研修の現場で活躍してきたプロコーチです。本書では、現場で人材育成コンサルタントや研修に従事していた経験から、ストレスや挫折に対する科学的なアプローチを新人・若手ビジネスパーソンにも理解しやすく提示しています。
「人生には心が折れやすくなる時期が必ず訪れる。どうすればそれを乗り越え、成長につなげられるのか」をテーマに、心の自然治癒力=「レジリエンス」を平易な言葉で解説しています。
『リーダーのための「レジリエンス」入門』
著者:久世 浩司
出版社:PHP研究所(PHPビジネス新書)
出版年月:2014/12
本書は、従来のカリスマ型リーダー像ではなく、変化や逆境に柔軟に適応し「打たれ強く、折れない」リーダーを目指すための指南書です。
「レジリエンス=打たれ強さ」と捉え、リーダーとして備えるべき5つの「強み」を整理しています。
実際のビジネスリーダーの実例を交え、「レジリエンス・リーダーになるための必読書15冊」「レジリエンス・リーダーの7つの習慣」など即活用可能なツールも付録として掲載されており、実践的にも役立つ一冊といえます。
『チームレジリエンス 困難と不確実性に強いチームのつくり方』
著者:池田 めぐみ、安斎 勇樹
出版社:英治出版(ekビジネス新書)
出版年月:2024/06
本書は、個人のレジリエンスではなく「チームとしての回復力・適応力=チームレジリエンス」に焦点を当てた実践書です。多様なメンバーが集まり、常に変化し続けるビジネス環境やプロジェクトにおいて、チームが挫折や失敗から立ち直り、成果を出し続ける仕組みを構築するための具体的なフレームワークを提示しています。
組織のマネージャー、人事担当者、プロジェクトリーダーなど、チームで成果を出したいすべての人におすすめできる一冊です。
まとめ|レジリエンスが個人・組織・企業すべてに求められている
レジリエンスの意味から特徴、ビジネスでの活かし方までを体系的に解説しました。
レジリエンスの高い人材は、柔軟な思考力と高い自己効力感を備え、感情を適切にコントロールしながら自己成長を実現できます。
また、企業にとっても心理的安全性の向上や生産性の維持、変化への対応力強化に欠かせません。
レジリエンスとは、困難から立ち直り前向きに適応する力であり、VUCA時代のいま、個人・組織・企業のすべてに求められているといえます。
アイデンティティー・パートナーズでは、組織で働く方々の「対話」を通じ、『 誰もが、いい声で話す 』組織を目指して、各種研修・コンサルティング・スクールなどのソリューションを提供しております。
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