top of page

リスキリングで転職支援や補助金を受けられる?リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業や転職活動のポイントを解説


ワークエンゲージメントの意味とは?尺度や測定方法・ワークエンゲージメントを高める方法などについて解説


2023年11月の閣議決定で、経済産業省によるリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業の期間が2年間延長されることになりました。


経済産業省をはじめ、政府のリスキリング転職支援や補助金制度などに興味を持っている人も多いでしょう。


本記事では、経済産業省や厚生労働省のリスキリング転職支援や補助金制度について解説します。リスキリングで転職を成功させるためのポイントや、無料で利用できるリスキリング講座なども紹介しますので、リスキリングを通じた転職を検討している人は参考にしてください。


 

【 目 次 】


  リスキリングとは?その定義と重要性

      リスキリングが転職市場で評価される理由

  リスキリングに関する無料講座や補助金制度などの活用

  教育訓練給付制度(厚生労働省・ハローワーク)

  リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業(経済産業省)

  リスキリングにおすすめの無料講座・動画

  リスキリングで転職すると転職手当がもらえるというのは本当ですか?

  リスキリングによる転職活動をいつまでに終えるという条件はありますか?

  リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業を利用して転職しない場合はどうなりますか?

 

リスキリングで転職を成功させるためのポイント



リスキリングは、転職市場での競争力を高めるために重要な手段です。


テクノロジーの進化やビジネス環境の変化により、企業は新しいスキルをもつ人材を求めています。


まずは、リスキリングの定義と重要性について確認しておきましょう。そのうえで、転職市場で評価される理由やリスキリングで転職を成功させるためのポイントを解説します。



リスキリングとは?その定義と重要性


リスキリングとは、社会人が新しいスキルを学び直すことです。経済産業省主導のワーキンググループ「デジタル時代の人材政策に関する検討会」報告書では、リスキリングについて以下のように定義しています。※

「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」


テクノロジーの進化や働き方の変化が急速に進む現代において、新たな仕事の進め方や職務に対応するために必要なスキルを身に付けることが求められているのです。


リスキリングとよく似た言葉に、社会人の学び直し「リカレント」がありますが、リカレントは個人的な趣味や関心事も含めた学びであるのに対し、リスキリングは職業的な価値を高めるための実践的なスキル習得を目指す、という点に違いがあります。


また、リスキリングは、従来のスキルアップとは異なり、職務の枠を超えたスキルを目指すのが特徴です。たとえば、IT技術の進化に伴い、データ分析やプログラミングなどのスキルは、業界や職種を問わず求められるようになっています。


リスキリングを通じて、これらのスキルを習得することで、企業や職務が変わっても転職の際に有利な立場を築くことが可能になるでしょう。


※参考:経済産業省/METI|デジタル時代の人材政策に関する検討会2021年2月26日開催資料



リスキリングが転職市場で評価される理由


リスキリングが転職市場で評価される理由は、その柔軟性と適応力にあります。企業は変化するビジネス環境に対応できる人材を求めており、新しいスキルが職務に直接役立つだけでなく、スキルを習得した能力や適応力が、転職においてプラスに評価されるでしょう。


リスキリングとは、職務の枠を超えた新しいスキルや企業・業界の垣根を超えて通用する汎用的スキルを習得することです。

そのため、リスキリングでニーズが高いスキルや資格を身につけておけば、転職先の企業が求める人材とマッチングがしやすくなるというメリットがあります。


また、リスキリングを行うことで、自ら学び続ける姿勢を示すことができ、企業からの評価も高まるでしょう。特にデジタル技術やDX(デジタルトランスフォーメーション)に関連するスキルは、多くの企業で人材が不足している分野です。これらのスキルを習得してアピールすれば、年収アップやキャリアの幅を広げるチャンスも増えます。



リスキリングに関する無料講座や補助金制度などの活用


リスキリングを効果的に進めるためには、無料講座や補助金制度を活用するのがおすすめです。


現在の仕事を続けながらリスキリングを始めたいと考えている人も多いでしょう。リスキリングに取り組む際には、計画的に公的な支援制度や補助金制度を活用し、時間や費用をできるだけ節約することが大切です。


国が提供する支援制度としては、厚生労働省が提供する教育訓練給付制度や経済産業省が実施する「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」などがあります。独自の支援制度を実施している地方公共団体も多くありますので、居住地や勤務先の自治体の情報を調べてみるとよいでしょう。


こういった公的な支援制度や無料講座などを上手に利用することで、転職活動の際に必要なスキルを効率的に習得することが可能です。



リスキリングにかかわる転職支援サービスや助成金・補助金



転職に有利なリスキリングを効率的かつコストを抑えて行うために、公的な支援制度や無料の講座などを賢く利用しましょう。


ここでは、リスキリングにかかわる助成金・補助金制度や転職支援サービス、無料のリスキリング講座やプログラムなどを紹介します。



リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業|経済産業省(2024年10月現在)


経済産業省により2023年度から導入されたリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業は、まさにリスキリングで転職したいという人を包括的に支援する制度です。


具体的には、経済産業省に登録した補助事業者が以下の3つのサービスで、受講者や転職志望者をサポートしてくれます。


  • キャリア相談(無料)

  • リスキリング(受講費用の負担を軽減)

  • 転職支援(無料)


リスキリング講座の受講を修了した場合に、受講費用の2分の1(上限40万円)が、講座受講後に実際に転職し1年間継続的に就業していることを確認できた場合には追加で受講費用の5分の1(上限16万円)が補助されます。補助の直接の対象者は事業者ですが、受講する個人は補助金分が差し引かれた金額で受講可能です。


民間のキャリアコンサルタントが無料でキャリア相談にのってくれます。補助金を受けてリスキリング講座の受講を完了した後には、転職先の紹介や転職活動のサポートを受けることも可能です。


リスキリングの分野はIT・デジタルだけでなく、語学・製造・設計・医療・福祉・専門職種などさまざまな分野が用意されています。分野ごとに登録事業者を検索して選ぶことも可能ですので、転職を見据えてリスキリングを検討している人は、一度HPで検索してみましょう。


※参考:リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業|転職をご検討の方



教育訓練給付制度(厚生労働省・ハローワーク)(2024年10月現在)


教育訓練給付金制度は、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を受講・修了した場合に、その費用の一部を支給する制度です。対象講座は約16,000講座もあるので、さまざまな分野でのリスキリングに活用できます。


教育訓練の種類や専門性によって3種類に分かれ、それぞれ給付率や限度額が異なりますので注意しましょう。

訓練種類

対象となる講座

受講費用の補助率

専門実践教育訓練

・業務独占資格などの取得を目標とする講座 (介護福祉士、看護師・准看護師、美容師、社会福祉士、歯科衛生士、保育士、調理師など)・デジタル関係の講座

(・ITSSレベル3以上の情報通信技術関係資格など)・大学院・大学・短期大学・高等専門学校の課程

((MBA、法科大学院、教職大学院 など)・専門学校の課程

(文部科学大臣認定の職業実践専門課程など)

80%年間上限64万円

特定一般教育訓練

・業務独占資格などの取得を目標とする講座

(介護支援専門員実務研修、大型大型自動車第一種・第二種免許など)・デジタル関係の講座・大学等、専門学校の課程

50%上限25万円

一般教育訓練

・資格の取得を目標とする講座

(税理士、社会保険労務士、Webクリエイター、CAD利用技術者試験など)

・大学院などの課程

20%上限10万円


専門実践教育訓練と特定一般教育訓練については、リスキリング支援センターなどで訓練前キャリアコンサルティングを受け、ハローワークで受給資格確認を行う必要があります。


受講開始日時点で在職中で雇用保険に加入していること、または離職してから1年以内であることなどが条件です。支給申請は全てハローワークで行いますので、事前にハローワークで支給要件照会の手続きをすると、給付が受けられるかどうかをより詳しく調べられます。


※参考:厚生労働省|教育訓練給付制度



リスキリングにおすすめの無料講座・動画(2024年10月現在)



経済産業省や厚生労働省の制度のほかにも、さまざまな団体や機関が、リスキリングに役立つ無料講座や動画を提供しています。


こうした無料講座を活用して独学で資格取得にチャレンジしてもよいですし、無料講座を試してから自分に適したリスキリングスキルを絞り込むのもよいでしょう。


リスキリングに興味があるけれど、いきなり時間のかかる高額な講座に申し込むにはためらいがある、という場合には、まずはこうした無料講座を利用してみてください。


ここでは、リスキリングに活用できる無料講座を4つご紹介します。



総務省統計局 データサイエンススクール


総務省統計局が公開するサイトで、統計リテラシー向上の取組として、データサイエンスのオンライン講座を無料で開講しています。


2024年4月から2025年3月にかけて、「社会人のためのデータサイエンス入門」「社会人のためのデータサイエンス演習」「誰でも使える統計オープンデータ」の無料動画を順次公開中です。


たとえば、入門編は1回10分程度の講義を6~9回程度で1週間を目安に受講し、それを4週続けるイメージで構成されています。各週ごとに講義内容の確認テストを行い、課題を提出するなど、無料講座ながら充実した内容になっているのが特徴です。


データサイエンススキルを持つ人材は、DXを推進する企業が最も必要としている人材といわれています。企業規模や業種を問わずニーズの高いスキルですから、興味があればチャレンジしてみるとよいでしょう。


※参考:データサイエンス・スクール/統計力向上サイト



UTokyo OpenCourseWare


UTokyo OpenCourseWareは、東京大学の正規講義の資料・映像を無償で公開するサイトです。学術的な内容も多いですが、データサイエンスやAIなどについて最先端の講義内容を視聴できます。


経営学や医事法、労働法、統計学、建築学などさまざまなコースが開講されていますので、自分の興味のある分野の講義を探してみるとよいでしょう。


※参考:UTokyo OpenCourseWare



日本リスキリングコンソーシアム


日本リスキリングコンソーシアムは、Googleが主幹事となり、国や地方自治体、企業など230以上の参画団体から構成するリスキリング講座提供プログラムです。


1,400以上のプログラムから条件にあったトレーニングプログラムに申し込めて、トレーニングプログラムには無料講座も多く用意されています。希望者には就職支援サイトへのエントリーやパートナー企業の採用情報の紹介情報を入手することも可能です。


どんなプログラムがあるか、有料無料・受講形式・レベル・目的別などに検索できるほか、同じ目的や類似するユーザーのデータをもとにおすすめの提示もしてくれます。


※参考:日本リスキリングコンソーシアム



JMOOC


JMOOCとは、オンラインで誰でも受講できる無料講座サービス「MOOCs」の日本版です。NTT Communigationらの特別会員企業が主導し、30を超える大学が協賛して無料講座を提供しています。


講座は一部のオプションを除き、修了証の取得まで誰でも無料で受講可能です。累計754講座、10代から80代まで幅広い年代で180万人を超える人がJMOOCの講座を受講しています。


講座ジャンルには以下のようなものがあり、ビジネスやリスキリングに役立つ講座が多く登録されています。


  • アート・デザイン

  • 教育と学習

  • 健康と医療

  • 工学

  • コンピュータ科学

  • 自然科学

  • 社会科学

  • 人文科学

  • 統計・数学

  • ビジネスと経営

  • 資格・試験対策

  • DXシリーズ

  • 教育研修講座

  • 理工系基礎

  • AI


※参考:JMOOC



リスキリングで転職活動する際のQ&A



リスキリングで転職活動をする際には、どのようなことに注意すればよいでしょうか。


よくある質問をQ&A方式でまとめました。



リスキリングで転職すると転職手当がもらえるというのは本当ですか?


転職手当という名目ではありませんが、経済産業省や厚生労働省の助成金・補助金制度では、リスキリング講座を受講後に転職し、一定の条件を満たすと追加補助をもらえます。


たとえば、経済産業省のリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業では、リスキリング講座の受講を経て実際に転職して1年継続すると、講座の受講費用5分の1相当額(上限16万円)が補助されます。


また、厚生労働省の教育訓練給付制度のうち、専門実践教育訓練と特定一般教育訓練については、訓練終了後の転職して賃金が5%以上アップした場合に、受講費用の10%が追加で補助されます。補助額の上限は、専門実践教育訓練の場合が年間16万円、専門実践教育訓練の場合が年間8万円です。


ただし、制度ごとに転職後の就業期間や賃金などの条件が異なりますので注意してください。



リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業で転職活動をいつまでに終えるという条件はありますか?


経済産業省のリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業の終期は2028年度末ですので、それまでに転職活動を終える必要があります。(2024年10月現在)


本事業は当初2026年度末までの予定でしたが、2024年に事業期間の2年間の延長が発表されました。これに伴い、支援を受けた個人の転職後1年間のフォローアップの終期も、2027年度末から2029年度末まで延長されています。転職後1年間のフォローアップを完了し、追加の受講費用を補助してもらうためには、2028年度末までに転職を完了することが必要です。


※参考:経済産業省| リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業| 事業期間の2年間の延長について



リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業を利用して転職しない場合はどうなりますか?


経済産業省のリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業は、転職を前提としたリスキリング支援となっています。このため、基本的に転職支援サービスは受ける必要があり、リスキリング講座受講後に転職をしなかった場合は、受講費用5分の1相当額の追加補助は受けられません。


ただし、所定のリスキリング講座を修了した場合、受講費用の2分の1相当額は補助されます。こちらは講座の受講修了が要件となっていますので、結果的に転職しなかった場合でも補助の対象外となったり返金を要求されたりすることはありませんので、安心してください。



【まとめ】リスキリングを通じた転職を考えているなら今がチャンス


経済産業省のリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業をはじめ、政府のリスキリング転職支援制度や無料で利用できる講座などについて解説しました。


2024年になってから、経済産業省の支援事業の延長、厚生労働省の教育訓練給付制度の追加補助など、リスキリング転職支援の制度拡充や延長が次々と発表されています。加えて、日本リスキリングコンソーシアムなど、リスキリングに役立つ低料金のサービスなども普及してきており、リスキリングを始めるには今が絶好のチャンスといえるでしょう。


企業側は新しいスキルを持った人材が不足しており、転職する人はリスキリングを行うことで転職条件が有利になる可能性があります。キャリアアップや転職を考えている人は、政府の補助金や無料の講習などを活用して、リーズナブルかつ効果的にリスキリングを行う方法を探してみるとよいでしょう。


bottom of page