成果を出せるチームにするためのマネジメント手法である「チームビルディング」。メンバー一人ひとりがスキルや能力を向上させながら主体的に業務に取り組めるため、チーム全体のパフォーマンスの向上を大きく期待できると注目を集めています。
今回は、チームビルディングの考え方と効果的な手法を解説します。実際に企業が取り組みを行い成功に至った事例も紹介するので、参考にしてみてくださいね。
【 目 次 】
マネジメント手法のひとつ「チームビルディング」とは
チームビルディングとは、個々の能力やスキルを最大限に発揮し目標を実現できるチームを作ることです。
適材適所の人員配置、個々の成長促進ができていないと、チームのパフォーマンスを引き出せず目標達成が困難になります。
この問題を解決するのが「チームビルディング」です。個々が役割を理解し働きやすくなるだけでなく、チーム全体が活性化し、目標とする成果を上げやすくなります。
チームビルディングの目的と必要性
チームビルディングの目的は主に3つあります。この3つを見れば、なぜチームビルディングが必要なのかも理解できるはずです。一つずつ見ていきましょう。
チーム全体のパフォーマンス向上
メンバーそれぞれの役割を明確化し、目標達成に向けて必要な行動を取れるようにします。個々の能力を伸ばしながら、チーム内の連携を強めチーム全体のパフォーマンス向上を目指します。
チームメンバーの関係性強化
成果を出せるようにするには、メンバー間の関係性も重要です。関係性が悪いとミスやトラブルが起こりやすく、業務を効率的に遂行できません。
役割分担が明確なのも関係性の向上に貢献しています。それぞれ適性に合った仕事ができるため、モチベーションを維持・向上できます。必要なら助け合う心の余裕があり、メンバー同士の関係も良好になっていくのです。
組織全体の目標共有
チームで仕事をするには目標の共有が必須です。しかし、やり方によっては共通認識が持てないままプロジェクトが進んでいく可能性もあります。
これを防ぐため、新しいメンバーが加わったときには、リーダーから目標共有を十分に行い、一体となって業務に取り組んでもらえるように努めます。
チームビルディングには「タックマンモデル」が重要!
「タックマンモデル」は、チームを形成する際に有効な考え方です。1965年に心理学者のタックマンが提唱しました。
タックマンモデルでは、チーム形成~成果を出せる状態となるまでの過程を以下の5段階に分けて示しています。
形成期
混乱期
統一期
機能期
散会期
それぞれの段階をクリアしていくことで、目標達成が可能になります。
形成期
チームを構成するメンバーが決まった段階。メンバーそれぞれがお互いを全く知らないために緊張感が漂っています。メンバー同士が良好な関係を築けるよう、交流会などを通してお互いへの理解を深められるようにします。
またリーダーがチーム全体の目標を具体的に説明するのもこの時期です。
混乱期
メンバー間での意見のぶつかり合いが起こる時期です。仕事を進めるなかで、メンバーそれぞれの目標達成に向けた考え方や業務のやり方などで食い違いが顕在化してきます。
議論を通して個々の考え方を理解しつつ、今後の方向性や対応方法のすり合わせを納得いくまで行うことが大切です。
統一期
業務のやり方などについてチーム内で共通認識ができることで、メンバーそれぞれが自身の役割を理解し助け合いながら業務を進められるようになります。意見は出ますが、メンバー間の対立を生むようなことはめったにありません。
機能期
メンバーがそれぞれの役割を理解して、主体的に業務を進められている時期です。この時期になると、リーダーが何も言わなくても高いパフォーマンスを出せるようになっています。機能期が目標達成に至る段階です。
散会期
チームとしての目標を達成したことで、解散する時期になります。スキルも能力もレベルアップしたメンバーは、それぞれ次のプロジェクトに参画していきます。
チームビルディングの導入に効果的な5つの手法
チームビルディングは、状況に応じて以下の手法を組み合わせて進めていくとよいです。
ゲーム
スポーツなどのアクティビティ
研修旅行などのイベント
ワークショップの開催
話し合い
ゲームは、形成期にあるメンバーの緊張をほぐしたいときに実施するとよいでしょう。チームで戦うゲームを用意すれば、メンバー同士でのコミュニケーションを図りつつ勝つための戦略を考える思考を鍛えられます。
チーム力を上げたいときには、スポーツなどのアクティビティを取り入れる、メンバー同士の理解や関係性を深める際にはイベントを実施するのがおすすめです。
そこまで時間を割けない場合には日常業務の中で話し合いをする時間をこまめに取り、メンバー同士の意見・考え方の共有、すり合わせを行うだけでも良いです。
チームビルディングでのマネジメントを成功へ導く3つのポイント!
目標は明確で分かりやすいものにする
目標が明確であるほど、達成に向けて高いモチベーションを持って業務に取り組めるようになります。
誰でもできるゲームやアクティビティを行う
ゲームやアクティビティを活用する場合は、能力の高さに関係なく誰でも平等にできるものにしましょう。ウォーキング・おもちゃを用いた研修・活動などを選ぶと、堅苦しさがなく個々の思考や能力を活かせます。
メンバーそれぞれが能力を発揮できる環境を用意する
リーダーが威圧的だとメンバーは委縮してしまいます。「下手なことはしない方がよい」という雰囲気の中で、メンバーが能力を発揮できるわけはありません。メンバーが個々の能力を活かせるような、働きやすい環境の用意が大切です。
チームビルディング|企業が行っている具体例
株式会社ぐるなび
ぐるなびでは、週1~3回の頻度でウォーキング・ミーティングを導入。これは、皇居周辺の7kmコースをお昼の時間を使い1周ウォーキングしながらミーティングを行う取り組みです。オープンな空間とほどよい騒音の中であるためか、新たなアイデアも生まれやすく、社員同士のコミュニケーションも活発になったとのことです。
株式会社メルカリ
チームメンバー同士の理解を深めるために、おもちゃの「レゴ」を用いた取り組みを行っています。お題をもとにレゴで作品を制作。完成後はどのような思いで制作したのかをメンバーに話すというものです。コミュニケーションが促進され、お互いの思考を理解できるようです。
まとめ
今回は、「チームビルディング」について解説しました。成果を出せるチームが完成するまでには対立がつきものです。一つひとつ段階を乗り越えれば、メンバー同士がお互い理解して連携しながら業務ができる強力なチームが出来上がります。現状なかなか良い成果を出せずに悩んでいる人は、一度チームビルディングを試してみるとよいかもしれません。
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