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良い研修より良い渇き|人材開発における研修の限界を超えるには?


ずっと働ける職場には「ポジティブな助け合い」がある

皆さん、こんにちは。WMS研究員のこがねんです。


普段は事業会社で人材開発・組織開発の責任者をするかたわら、個人でも人材開発・組織開発のアドバイザリーをしています。


 

【 目 次 】

 

「人材開発=研修」に感じる違和感


「人材開発をしています」と言うと、よく言われるのが「ということは研修を担当されているんですね」という言葉です。確かに人材開発にとって研修はとても重要な施策ですし、人材開発担当者として結果的に研修の企画や運営に多くの時間を割いているのも事実です。


でも、私はこの「人材開発とは研修のこと」という言葉を聴くたびにいつも違和感を感じていました。人材開発を氷山に例えると「研修」は氷山の上、海上に浮かんで見えている部分の要素であり、その下の海中に沈んで見えづらい部分に目を向けないと人材開発の全体像は見えてこないと考えているからです。


人材開発における研修の限界


そう思う理由の1つに「研修単体の効果は限定的」という問題があります。「エビングハウスの忘却曲線」として知られるように、人は学んだことを1時間後には半分以上を忘れ、翌日には7割以上、1カ月後には8割近く忘れてしまいます。人は学んだことを想像以上の速度で忘れていってしまうので、研修だけやっていてもその効果は限定的なものになってしまいます。


また「研修は参加者の主体性を奪う」という問題もあります。多くの社内研修は「全社員必須」「管理職必須」など、対象者に必須で受けてもらうよう設計されます。社員にとっては通常業務で忙しい中、人事や研修チームから「この日程で受講してください」「いついつまでに受講完了ください」と連絡が来て、強制的に学ぶことを求められます。これが参加者の学ぼうと思う気持ち、つまり学びへの主体性を阻害すると考えています。


そして「研修は届けたい人に届けるのが難しい」という問題もあります。今度は研修を「手挙げ式(任意参加)」にした場合の話です。たしかに、この方法であれば学びへの主体性を尊重することになりますが、今度は「学ぶことが好きな人だけが参加する」「学んでほしい人がいても永遠に参加してくれない場合がある」という状況を生み出してしまいます。


ではどうすればいいでしょう。研修をやっても人は忘れてしまう。必須で研修をやると主体性を奪ってしまう。任意で研修をやると来てほしい人が来てくれない。これらの問題を解決する手を一緒に打っていかないと「人材開発」は成立しません。


その解決のヒントが今日のテーマである「渇き」にあります。



人材開発の最重要ワード『渇き』


ではこの「渇き」をどうやって生み出していけばよいのでしょうか。


「渇き」は3つの材料から生み出されます。つまり「自分の理想の状態」と「自分の現在の状態」とその「差分」の3つがそろって初めて「渇き」が生まれます。図にするとこうなります。


人は「自分の理想の状態」を知ることでこれから向かうべきゴール地点を、「自分の現在の状態」を知ることで今いるスタート地点を、そしてその「差分」を知ることで、その間にく道のりをリアルに想像できるだけでなく、主体的にその道を進みたいと考えやすくなります。



ゴールとスタートを知る2つのやり方


このゴール地点とスタート地点は会社から社員に示すやり方と、社員が自ら発見するやり方の2パターンが考えられます。


会社から社員に示すゴール地点は、社員としてのマインドセットの言語化である「バリュー」や、人事制度における等級要件や役職要件などの「人材要件」が、これにあたります。また、スタート地点は「定期的な人事考課」や「日常的なフィードバック」を通じて本人に自覚してもらうことができます。


社員が自ら発見するゴール地点は、コーチングやワークショップを通じた「キャリアプランニング」や「WILL・CAN・MUST(やりたい・できる・やるべき)」を考えてもらうことで自覚をうながすことができます。また、スタート地点は「1on1による振り返り」や「ライフラインチャート」などによるキャリアの棚卸しでサポートすることができます。表にしてまとめるとこんな形になります。

スタート地点

← 差分 →

ゴール地点

​会社から示す

​定期的な人事考課 フィードバック

← 差分 →

バリュー 人材要件

社員が自ら発見する

​1on1による振り返り ライフラインチャート

← 差分 →

​キャリアプランニング WILL・CAN・MUST

このように方針の共有や制度の整備、日常的な振り返りやフレームワークを使ったワークショップなど、研修以外の打ち手を複合的に実施することで、「自分の理想の状態」と「自分の現在の状態」そして、その間にある「差分」をなるべく多くの社員に自覚してもらい、「良い渇き」を常に生み出すための環境づくりができると考えています。


見て頂いて分かる通り、何も斬新な打ち手が必要なわけではありません。むしろ皆さんの会社でもすでに実施されている施策も多いのではないかと思います。重要なことは「良い研修」以上に「良い渇きを生み出す全体設計」を進めることこそが、人材開発においては最も重要であり、人材開発担当者の仕事になると考えています。



まとめ


いかがでしたでしょうか。皆さんにとってヒントになる情報になっていれば嬉しいです。また、お読みいただいてお気付きの点があれば是非弊社まで、ご連絡いただければ幸いです。


それでは、また。


この記事を書いた人 こがねん SBIビジネス・イノベーター株式会社 「わたし・みらい・創造センター(企業教育総合研究所)」

研究員


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