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MBA(経営学修士)は意味ない?MBAの概要や取得方法、メリット/デメリットなどを解説


ワークエンゲージメントの意味とは?尺度や測定方法・ワークエンゲージメントを高める方法などについて解説

日本でも名門大学院が次々とプログラム提供をしているMBA(経営学修士)。


キャリアアップや転職にも有利となり人気のMBAですが、一方で、「MBA取得は意味がない」「MBAをとって後悔した」などといった意見もみかけます。


本記事では、MBA取得のメリットとデメリットの両方について解説します。


国内MBA取得の現状やランキングなどについても詳しく解説しますので、参考にしてください。


 

【 目 次 】


  MBAとは

  MBA取得のメリット

  MBAが注目されている背景、最新の状況

  取得のための費用が高い

  難易度が高く取得に時間がかかる

  国内MBA

  海外MBA

  国内MBAで後悔?日本のMBAの状況

  国内MBAランキング

  事前に費用対効果をよく検討する

  MBA取得自体を目的としない

  自分に合ったキャリアプランを考えよう


 

MBA取得の意味とは?MBAの概要と取得のメリット


MBA(経営学修士)は、ビジネスの世界で活躍するための知識とスキルを学ぶ学位で、特にリーダーシップやマネジメントを目指す人にとって有用な資格とされています。


ここでは、MBAの概要や取得するメリット、いま注目されている背景についてみていきましょう。


MBAとは


MBA(Master of Business Administration)は、経営学修士の略称で、大学院やビジネススクールで一定のカリキュラムを修了することで得られる学位です。MBAは資格ではなく学位ですので、試験に合格すればOKではなく、一定期間スクールに在籍し所定の単位を取得することが必要となります。

このため、MBAの学位取得のためにスクールに通っている人を、MBA Student やMBA Candidateなどと呼ぶこともあります。


MBAプログラムは、経営戦略や財務、マーケティング、組織マネジメントなど、多岐にわたる経営の理論と実践を学ぶのが特徴です。特にビジネスのリーダーシップを目指す人にとって、MBAは経営判断に必要な知識を体系的に学ぶ場となり、自身のスキルを証明する学位としても評価されています。


世界的には、ハーバード大やスタンフォード大など特に欧米の名門ビジネススクールが有名で、グローバルなビジネス人脈を築くきっかけともなるため、多くのビジネスパーソンが取得を目指しています。



MBA取得のメリット


MBAを取得することで得られるメリットには、スキルの向上や人脈の構築、キャリアアップのチャンスなどがあります。


まず、MBAプログラムを通じて学ぶスキルは、経営に関する総合的な知識だけでなく、実践に活かせるケーススタディや問題解決能力の向上に役立ちます。


また、同じ志を持つ仲間や教員とのネットワーキングができる点も魅力です。MBAを取得しようとする人は総じてキャリア意識が高く、スクールにはさまざまな業界や職種の人が集まるため、業務上では築けない人脈やネットワークを構築できるでしょう。


さらに、MBA取得者はキャリアアップや転職においても評価されやすく、特に外資系企業や大企業では、MBAホルダーを積極的に採用する傾向があります。


こうしたメリットから、MBAは収入やポジションアップにつながるキャリア資産とされ、多くのビジネスパーソンが取得を目指しているのです。



MBAが注目されている背景、最新の状況


近年、MBAが再び注目を集めている背景には、企業環境や労働市場の変化が影響しています。

デジタル化やグローバル化が進むなかで、企業には迅速な意思決定や多様な文化の理解が求められます。こうした環境変化に対応するため、リーダーシップや高度な経営知識を得る効果的な手段として、MBAが注目されているのです。


また、国内外のビジネススクールがオンラインMBAを提供するなど、仕事と学びを両立しやすい環境が整ってきたことも、社会人のMBA取得の後押しをしています。


企業も人材のリスキリングを積極的に支援するようになり、MBAの取得がキャリア形成における重要な選択肢として注目されているのです。



MBA取得しても意味ない?デメリットは何か


MBAの取得は多くの知識や人脈を得られる一方で、「意味がない」と考える人もいます。

費用や時間がかかること、独占業務がないことなど、MBAにはデメリットもいくつかあるからです。


ここでは、MBA取得のデメリットについて詳しくみていきましょう。



取得のための費用が高い


MBAの取得には多額の費用がかかります。


国内のビジネススクールでフルタイムのMBAを取得する場合、年間で数百万円におよぶ学費が必要です。入学金や授業料に加え、教材費や各種活動費なども含まれるため、経済的な負担が大きくなります。

のちほど説明するように、海外でMBAを取得する場合には渡航や滞在費なども含めて、さらに費用負担が大きくなります。


特に社会人がMBA取得を目指す場合、仕事を一時的に制限したり、収入を減らしたりする選択が求められるケースもあります。そのため、MBAを取得するには費用面での準備が重要であり、「高い費用を支払うだけの価値があるか」と慎重な検討が求められるでしょう。



独占業務がなく独立や起業、実務に直結しない


MBA取得者は経営知識に精通するものの、弁護士や医師のように特定の独占業務があるわけではありません。


つまり、MBAを取得したからといって、その資格を生かして独立や起業が保証されるわけではないのです。そのため、「MBAを取得しても独自の業務を持たないため役に立ちにくい」という声もあります。


企業によってはMBA取得者が評価される場合もありますが、それでもMBAが即座に実務に直結する保証はありません。独立やキャリアアップを目指す場合、MBAの学びをどう実践で活かすか、具体的なビジョンが不可欠です。



難易度が高く取得に時間がかかる


MBAは難易度が高く、取得までに多くの時間と労力を要する点もデメリットといえます。


MBAプログラムには、経営や会計、マーケティングなど幅広い知識が求められ、課題やプロジェクトに加えて、頻繁にディスカッションやグループワークが組み込まれています。そのため、忙しい社会人が仕事と両立しながら勉強を進めるのは難しく、フルタイムでの取得を選択する場合、数年間の時間を費やす覚悟が必要です。


また、MBAを取得したとしても、その労力が実際に給与やキャリアに直結するわけではないため、「難易度の高いMBAを取得する意義が見いだせない」と考える人も少なくありません。



MBAの取得方法


MBAの取得方法には大きく分けて2つあります。


国内のスクールで取得する方法と海外のスクールで取得する方法です。


講義内容や学位の認証、コストなどは、スクールや受講方法によって大きく異なりますので、取得の目的や予算などに合わせて適切に選ぶ必要があります。


ここでは、国内MBAと海外MBAの取得方法や主な違いなどについて解説します。



国内MBA


国内MBAは、国内のスクールでMBAプログラムを受講して学位を取得する方法です。


一橋・慶應・早稲田・同志社・立命館などの有名大学院のほか、商科大学系、グロービス経営大学やハリウッド学院などの民間ビジネススクール系など、さまざまな大学院でMBAプログラムが提供されています。


近年では、オンラインでMBAプログラムを提供するビジネススクールも増えています。オンラインでのMBAプログラムは、スケジュールを調整できるので仕事との両立がしやすい、傾向として通学形式と比較して費用が安いなどのメリットがあります。


一方で、通学型の場合は、モチベーションを維持しやすい、人脈を広げやすいなどのメリットがありますので、MBA取得の目的や状況に合わせて適切な方法を選ぶとよいでしょう。



海外MBA


海外MBAは、海外の大学院やビジネススクールを受講してMBAを取得する方法です。


MBAの本場であるアメリカはもちろん、英語圏のイギリスやオーストラリアなどのほか、最近ではシンガポールなどアジア諸国でのMBAプログラムの人気も高まっています。


すでに説明したようにMBAは学位ですので、取得に必要な講義内容や単位数などの内容は各国によってさまざまです。MBAには国際的な認証機関があり、特に以下の3つの代表的な国際的認証機関の認定を受けているスクールは「トリプルクラウン」と呼ばれています。



【代表的な国際的MBA認証機関】

AACSB(Association to Advance Collegiate Schools of Business)

米国

AMBA(the Association of MBAs)

イギリス

EFMD(European Foundation for Management Development)

ベルギー


海外でのMBA取得のメリット・デメリットをまとめてみると以下のようになります。

メリット

デメリット

・外資系企業などでの評価が高い

・国際的な人脈やネットワークができる

・費用が高い

・日本で仕事を続けながらの取得が難しい

・語学力が求められる


海外MBA取得の最大のデメリットは、費用が高額になることでしょう。たとえば、アメリカのハーバードビジネススクールの2024年度MBA概算取得費用は、学費だけで年間76,410ドル、寮費や交通費などを含めて年間118,854ドルです。1ドル150円で計算すると2年間の学費だけで2,200万円を超える額になります。※


アジアの大学であれば、アメリカや欧州の大学よりも学費や生活費などは安くなるところが多いです。しかし、この場合でも、生活費や渡航費などがかかる、日本での仕事を続けながら取得するのが難しくなるといったデメリットはあります。


また、海外でMBAを取得する場合、当然ながら講義はすべて英語で行われるのが通常ですので、相当の語学力が求められることはいうまでもありません。


一方で、海外でのMBA取得には、外資系企業などでの評価が高い、国際的なネットワークができるなどのメリットもあります。


最近では、オンラインでのMBAプログラムを提供しているところや、奨学金を利用できるところなどもありますから、海外MBAの取得を考えている人は調べてみるとよいでしょう。


※参考:ハーバードビジネススクール Harvard Business School-MBA-Annual Cost of Attendance



日本国内でのMBA取得の状況



日本国内でのMBAの人気が高まる一方で、「国内MBAは意味がない」「日本でMBA取得して後悔した」などといった意見も散見されます。


ここでは、日本でのMBA取得の最新状況や国内MBAランキングなどについて解説します。



国内MBAで後悔?日本のMBAの状況


2000年代から国内でMBAプログラムを提供する大学院やビジネススクールが増え、文部科学省の調査によれば、経営系専門職大学院の社会人学生数は2013年の4,371人から2017年には5,227人と増加しました。※


一方で、2016年には早稲田ビジネススクールの教師を10年以上務めた遠藤功氏が『結論を言おう、日本人にMBAはいらない』という著作を発表するなど、「国内MBAは意味がない」という意見も出てきています。


ほとんどの日本企業はMBAの価値を認めていない、必要単位数が少ない、論文執筆を修了要件としていないなど質の低いMBAが多いなどの理由から、国内MBA取得の意味を疑問視する声もあるようです。※※


しかし、国内MBA生を対象としたアンケートでは「ビジネススクールでの学びがいまの仕事に役立っているか」という問いに対し「とても役立っている」または「ある程度役立っている」と答えた学生が97%を占める、という結果も出ています。※※※


実際に国内でMBAを学んでいる人たちは、MBAの学びが実践的に役立つと感じていることがわかります。


MBAの取得を検討するうえでは、取得の目的や今後のキャリアプランなどと照らし合わせ、取得方法や受講するスクールを選ぶことが大切です。


※参考:文部科学省『経営系大学院を取り巻く現状・課題について』


※※参考:東洋経済オンライン|なぜ日本産MBAの「質」はこんなに低いのか 13年間早稲田で教えてきて悟ったこと


※※※参考:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|国内MBA生の実態調査を公開、「キャリアは未定」でも「ビジョンは明確」 社会人が経営学を学ぶ理由



国内MBAランキング


数あるMBAのスクールを選ぶ際に、ランキングを参照したいという人もいるでしょう。

残念ながら、日本のMBAスクールについて公的なランキングというものは存在しません。


「海外MBA」で説明したように、MBAには国際的な認証機関があり、国際的な認証を受けている大学院については、海外での評価機関でスコアやランキングが公表されているところがあります。


たとえば、世界大学評価機関の英国クアクアレリ・シモンズ(Quacquarelli Symonds:QS)は、毎年グローバルのMBAランキングを公表しており、2024年のアジアランキングでは、日本から以下の大学院がランクインしています。


【QS Global MBA Rankings 2024: Asia】

順位

大学名

スコア




国内

アジア

1

19

名古屋商科大学(NUCB)

49.1

2

22

一橋大学(HUB)

46.9

3

31

早稲田大学(WBS)

41

4

44

立命館大学(RBS)

30.3

5

46

同志社大学(DBS)

29.7

6

47

国際大学(GSIM)

29.4

※参考:QS Global MBA Rankings:  Asia 2024 | Top Universities


QSは基本的に国際認証のある大学を対象としており、すべての国内大学院を対象としているわけではありません。ほかに国際的な評価機関としては、フランスの格付機関であるEduniversalなどがありますが、評価基準や評価方法は機関によって大きく異なります。


ランキングは参考にとどめ、MBA取得の目的や自身のキャリアプラン、予算や立地など総合的な面から判断してスクールを選択しましょう。


【まとめ】MBA取得しても意味なかった…と後悔しないために


MBA取得のメリットや方法について解説しました。


MBA取得には大きなメリットがある一方で、取得するためには多大な費用や時間がかかることも事実です。また、MBAは資格ではなく学位ですので、MBAを取得したからといってただちにキャリアアップしたり収入がアップするわけではないことにも注意しましょう。


最後に、せっかく努力してMBAを取得しても意味がなかった…などと後悔しないですむよう、MBA取得を検討する際に気をつけたい注意点を解説します。



事前に費用対効果をよく検討する


MBA取得は大きな投資であり、その費用対効果を事前に慎重に検討することが大切です。


授業料や生活費、さらに海外でMBAを取得するケースなど、キャリアのブランク期間が生じる場合には、その間の収入の減少も考慮する必要があります。MBA取得にかかるコストは数百万から数千万円にもなるため、将来のキャリアアップや給与増に見合うかを分析しましょう。


MBA取得によって得られるスキルや人脈が、投資に見合うリターンをもたらすかを具体的に考えることで、後悔を防ぐ一助となります。現在所属している企業や業界で、MBA取得が具体的にどのように役立つのかも、しっかりと情報収集しておきましょう。



MBA取得自体を目的としない


MBAを取得すること自体がゴールになってしまうと、その後のキャリアに活かせずに後悔してしまう可能性があります。


MBAは、実際の業務やビジネスで活かすためのものであり、取得後に学んだ内容をどのように応用するかが最も重要です。たとえば、マネジメント能力を高めることでリーダーシップを発揮する、戦略的な思考を活用して業務の改善に取り組むなど、MBAでの学びを具体的に役立てることが本当の意味での成功といえるでしょう。


また、MBA取得のデメリットでも説明したように、MBAは独占業務がある資格ではありませんので、取得したからといってただちにキャリアアップや転職できるわけではありません。MBAを取得した後にどう生かすかが重要なのです。


取得前にその目的と活用方法を明確にすることで、より有意義な学びとキャリアにつながります。



自分に合ったキャリアプランを考えよう


MBAを取得する前に、自分のキャリアプランをじっくり考えることが大切です。


自分にとっての最適なキャリアパスを描き、それに向けてMBAがどのように役立つかを見極めましょう。たとえば、管理職や経営職に就きたいのか、特定の業界で専門性を高めたいのかによって、求められるスキルや経験は異なります。


また、国内と海外のMBAプログラムにはカリキュラムの内容や得られるネットワークに違いがあるため、どのプログラムが自分の目標に合致しているかも大切な判断材料です。


自分に合ったキャリアプランを見つけることは容易なことではありませんが、変化の激しい時代において自己分析を徹底し、明確な目的意識やキャリアプランをもてることが、次世代のリーダーやマネジメントには必須といえます。


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