「GRIT(グリット)」という言葉をご存じですか?
GRIT(グリット)とは「やりきる力」のことで、心理学者でペンシルバニア大学教授のアンジェラ・リー・ダックワース氏が提唱した言葉です。
Guts(ガッツ):困難に立ち向かう「闘志」
Resilience(レジリエンス):失敗してもあきらめずに続ける「粘り強さ」
Initiative(イニシアチブ):自らが目標を定め取り組む「自発」
Tenacity(テナシティ):最後までやり遂げる「執念」
この頭文字をとって「GRIT」です。
今回は大人も子供も身に付けたい「やりきる力」がどうやって培われるのかについてお伝えします。
【 目 次 】
やりきる人は影響力を持つ
「うちの組織でなにかやろう! となっても結局いつのまにか立ち消えになって、決めたことがまっとうできないんですよ…」
企業様からこんなお悩みをいただくことがあります。
じつは個人の「やりきる力」は組織への態度に影響を及ぼし、全体的な仕事の成果を上げると言われています。
個人が「やりきろうとする姿勢」が周囲へも大きく波及する。私個人はそう考えています。
認知能力と非認知能力
やりきる力は「非認知能力」に含まれます。
「認知能力」は、聞いたことがありますよね。IQ(知能指数)に代表される、点数で数値化できる知的能力のことです。
対して「非認知能力」とは、忍耐力やリーダーシップのような数値化することが難しい内面的なスキル
のことを言います。
「認知能力」は社会に出るまでの学業で培われるものですが、社会に出てからより必要となるのが「非認知能力」。人生においてプラスの結果を出すには、どちらもバランスよく備えているのが理想です。
パフォーマンスが上がる仕組み
課題に対するパフォーマンスは、以下の流れで上がっていきます。
動機付けが、 ↓
「認知能力」や「非認知能力」に影響を及ぼし、 ↓
課題に対するパフォーマンスを上げる
「何のためにやるか」の動機付けが起点となって、「認知能力」「非認知能力」へ影響し、結果的にパフォーマンスが上がるのです。
*出典:Kautz,T.et al.(2014) Fostering and Measuring Skills -OECD Education Working Papers
やりきる力はどうやって培われる?
一般的にやりきる力を含む「非認知能力」は、幼少期~学童期に育ちやすいと言われています。
遊びながら伸ばせる
子供は新しいことに挑戦したり、多くを吸収する力が高い
のが主な理由です。
また「非認知能力」が育つには、他者との関わりがあることが条件です。この点、繰り返し練習したり暗記したりして伸ばせる「認知能力」とは大きく異なります。
自分で工夫して作った作品をお友達と見せ合ったり、他の子のアイデアを取り入れてみたり。意見がぶつかった時には交渉や調整を試みたりと、「他者との関わり」の中で学ぶことはじつに多くあるのです。
やりきる力は大人になってからでも身に付けられるか?
答えはもちろん”Yes”です。やりきる力は大人になった今からでも身に付けられます。ポイントはやはり「他者との関わり」です。
いまより少しだけ難しいことにトライする(挑戦する勇気を持つ)
成功体験を積み上げる(“できる”自信をつける)
トライする事柄は変更してもよいとする(心に柔軟性を持つ)
やりきる力を持つ人と行動を共にしてみる(真似る・吸収する)
短期だけでなく長期の目標を視野に入れる(長期目標を立てる)
やりきる力の発揮には、応援してくれる家族や仲間の存在も大きいです。
人は周囲の人から「あなたならできる!」「やれるよ!」と言われ続けると、そのような暗示にかかり
自分が思った以上のことができるといいます。自分でも「できる!」「やれる!」と思うことでエンジンが動き出すのです。
私自身、やりきる力を発揮しているときの状態は、動機や目標が明確で、やりきった後の自己イメージが見えており、それを得たいという強い欲求があるときです。「ぜったいできる」と思い込むことはとても大事です。
この記事を書いた人 齊藤 理美(さいとう まさみ) アイデンティティー・パートナーズ株式会社、 わたし・みらい・創造センター(企業教育総合研究所) 専任講師&コーチ |