最近、よく耳にするようになった言葉「組織開発」。
2020年の人事部向けのアンケート結果でも、「3~5年後の組織管理の課題」として「組織開発・組織風土改革」を挙げた企業は30%を超え、「人事制度の改定」と「従業員のモチベーション」と並んでトップとなっています。※
「組織開発」は企業を成長・発展させる有効な手段の一つですが、従来の人材開発と何が違うのか、実際にどのように進めたらいいのか、具体的なイメージがつきにくい人も多いでしょう。
そこで今回は、組織開発の意味や目的、人材開発との違いや組織開発導入の際に最適なフレームワーク・手法などについて解説します。
初心者向けにおすすめの本や個別企業の取り組み事例などについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。組織開発を始めるにはどうしたらいいのか、今後の組織開発の進め方のヒントになるはずです。
【 目 次 】
組織開発とは?
「組織開発」とは、簡単に言うと「よりよい組織づくりをすること」です。職場の人間関係に焦点を当てて働きかけを行い、組織が活性化されることで、職員全体のパフォーマンス向上につながります。
組織開発は英語で「Organization Development」といい、1950~60年代にアメリカの社会心理学や行動科学を元に生まれた考え方だと言われています。社会心理学や行動科学の理論・フレームワークを使って、組織のパフォーマンスや健全性を高めていくのが特徴です。
日本では2010年に特定非営利活動法人「OD Network Japan」が設立され、その後、広く日本企業の経営コンサルティングについての提言や調査活動を行う公益財団法人「日本生産性本部」でも、組織開発コンサルティングが取り上げられるなど、注目度が増してきています。※
近年、日本でも組織開発が注目されている主な背景として、年功序列や終身雇用の崩壊により働き方の多様化が進んでいる点が挙げられます。実際、スキルアップしてより良い会社への転職を目指す人も多く、従来型の組織では中長期的な人材確保が難しくなってきているようです。この打開策になるのが組織開発です。
組織開発の意味と目的
組織開発を行う意味と目的は何でしょうか。組織開発の主な目的は以下の3つにまとめられます。
メンバー同士の良好な人間関係構築による生産性や効果の向上
集団でいることでの相乗効果が生まれる風土作り
組織が自己革新性・自走力を養う
組織開発の一番の目的は、メンバー同士の関係を良好にして組織を健全化することによって、パフォーマンスや効果を向上させることです。
しかし、個々のスキルや知識が向上しても、メンバーが単独で行動し集団での相乗効果が生まれていないのであれば意味がありません。集団でいることがプラスに働く企業風土の形成、職場内の良好な人間関係の構築により、生産性向上やイノベーションの生成を期待できる組織づくりを目指します。
組織開発で重要なのは、短期的・一時的にパフォーマンスを上げるだけでなく、組織自体がより良いものになるよう自ら革新していく力を身につけることです。組織開発の導入ではコンサルティングなどを活用するのは良いですが、最終的には、外部からの支援がなくても、自走して組織を改善し続ける取り組みができるようになることが大切です。
人材開発との違い
「組織開発」という言葉を聞いたことはあっても、よく似た概念である「人材開発」との違いがわからず混乱してしまう人も多いでしょう。
人材開発も、組織開発と同様に「人」に焦点を当ててアプローチをします。ただし人材開発は「個人」にアプローチをするのに対し、組織開発は「組織」を対象として働きかける点に大きな違いがあります。
人材開発の主な領域は「個人」の技術や知識向上です。課題や原因は組織メンバー個人にあると考え、個人のスキルアップや意識改善のための社内研修やOJT研修などを導入し、個々のパフォーマンス向上を図ります。
組織開発はメンバー一人ひとりではなく、メンバー同士の関係性にフォーカスします。組織のメンバー同士の関係性を改善し、個々がパフォーマンスを発揮しながら協力し合える環境づくりを行うのです。
そのため、組織開発のアプローチとしては、組織のメンバーの関係性を改善することが第一となり、そこから自発的に組織のシステムやプロセスの見直しを行っていきます。ここが人材開発との違いです。
組織開発に活用できるフレームワークや手法
組織開発には便利なフレームワーク・手法がいくつか存在します。代表的なものを以下に挙げてみましょう。
7S
「7S」とは、アメリカのコンサルティング会社「マッキンゼー・アンド・カンパニー」が開発した組織マネジメントの考え方です。
「McKinsey 7S framework」「マッキンゼーの7s」などと呼ばれ、日本でも経営学やマネジメント手法として各所で取り入れられています。
マッキンゼーの7Sとは以下の7つの要素を言います。
Structure(構造)
System(システム)
Strategy(戦略)
Skill(スキル)
Staff(スタッフ)
Style(スタイル)
Shared value(価値共有)
前者の4つを「ハードのS」、後者の3つを「ソフトのS」と呼ぶこともあります。ハードのSは、組織構造自体にかかわるもので、経営者が比較的短期間に変更可能でコントロールしやすいという特徴があります。一方、ソフトのSは人にかかわるもので、短期間で変更したりコントロールしたりするのが難しいのが特徴です。
マッキンゼーでは、7Sをダイアグラムの形で表現し、最後の「Shared value(価値共有)」を7つのSの中心に位置づけています。7つのSの各々の資源とお互いの関係性に注目しながら、組織の現状と組織の戦略とのギャップを考えていきます。
7Sにおいては、ハードとソフトどちらがより重要ということはありません。組織開発でも、組織構造やシステムから、スタッフの最適配置や小野野のスキルアップ、さらには企業風土や企業理念の共有など、7つの要素の関係性に配慮しながら進めていくことが重要です。
(※参照元:McKinsey&Company-Enduring Ideas|The 7-S Framework『マッキンゼーが考えた組織マネジメントの手法7Sが理解出来る教科書/mckinsey 7s framework:ハードのSとソフトのSの違い』(マッキンゼー研究会 ASIN : B0B92Q2KMB))
OKR(Objectives and Key Results)
「OKR」とは、目標と成果指標(Objectives and Key Results)の略で、目標管理の手法の一つです。
世界最大手の半導体メーカーであるインテルの元CEO・アンディ・グローブ氏によって始められ、インテルからGoogleの取締役になったジョン・ドーア氏がGoogle社にも導入しました。
現在では、アメリカ・シリコンバレーのIT企業にとどまらず、世界中の組織で採用されています。※
OKRでは、「最終目標」と、達成につながる「成果目標」を企業・チーム・個人で作成しリンクさせることで、組織全体が同じ目標達成に向けた取り組みを計画的に進められるようになります。
業績や組織のパフォーマンスを測る指標としては、「KGI(Key Goal Indicator)」や「KPI(Key Performance Indicator)」などがあります。KGIやKPIが100%の達成を目標に管理される指標であるのに対し、OKRは60~70%の達成率を理想としている点に大きな違いがあります。
OKRでは、少し手が届かないくらい高い理想や目標を設置し、それを組織のメンバーと共有することで、達成に向けてメンバーのエンゲージメントを向上させることを狙いとしているからです。
(※参照元:Google re:Work|ガイドOKRを設定する)
コーチング
「コーチング」とは、本人の思いに耳を傾け、質問や提案をしながら会話を進めていく目標達成の手法です。本人の発言に対して質問・提案をすることで考え方や選択肢の幅が広がり、より効果的な解決につなげられるとされています。
世界最大のコーチの非営利団体である「国際コーチング連盟(ICF)」と、文部科学省外郭団体「一般財団法人生涯学習開発財団」、日本で最もメジャーな2つのコーチング資格の認定プログラムを提供しているコーチ・エィでは、以下のようにコーチングを定義しています。
「目標達成に必要な知識、スキル、ツールが何であるかを棚卸しし、それをテーラーメイド(個別対応)で備えさせるプロセスである」 引用元:コーチ・エィ アカデミア|コーチングとは
コーチングでは、本人の中に答えを出せる力があると信じているため、ティーチングと違って「こうすればよい」といった明確な答えは与えません。コーチングでは、会話を通して得た気づきを活かして自分なりに最良の答えを出すように促します。
これを繰り返し行うことで一人で課題が解決できるよう促していくのです。
コーチングの基本的なスキルや質問の仕方などについては、以下の記事も参考にしてください。
ワールドカフェ
「ワールドカフェ」とは、カフェのようにリラックスできる雰囲気の中で少人数のグループで行うミーティングを指す言葉です。
ワールドカフェは、1995年にアメリカのファニタ・ブラウンとデビッド・アイザックの両氏によって始められました。両氏がビジネスリーダーや学者などを自宅に招き、くつろいだ親密な雰囲気で対話を進めると、参加者たちの主体性や創造性を高める効果があったという経験を生かしてまとめられた手法がワールドカフェです。※
組織の成長に有用なアイデアは誰が持っているかわかりません。できる限り多くの人に忌憚なく話してもらえれば、いいアイデアに巡り会う可能性が高まります。
自由に意見やアイデアを出し合えるような雰囲気をつくりたいときは、会議に参加するメンバーを少人数のグループに分けたり、メンバーを時間でシャッフルしたりするワールドカフェの手法を取り入れるとよいでしょう。
(※参照元:The World Cafe|History)
AI(Appreciative Inquiry)
「Appreciative」は人や組織の価値を認めること、「Inquiry」は質問する・問いかけるという意味です。つまり「Appreciative Inquiry(以下AI)」とは、よいところを見つける質問をして、人や組織の価値を探求する問題解決の手法になります。将来なりたい姿を質問により描き出し、そこへ向けて全員が納得できるよう働きかけるアクションプランです。
AIは、 1980年代後半にアメリカのCase Western Reserve大学のデービッド・クーパーライダー博士らによって提唱されたのが始まりとされています。AIには以下の3つのような特徴があります。※
組織の強みにフォーカスしたポジティブアプローチ
関係者の差異を価値と認め対話を重視する
多様な利害関係者を巻き込みながら共通の目標達成を目指す
ポジティブな部分にフォーカスして人を育てるため、組織風土もポジティブに変わっていきます。問いかけが人を元気にし、自信を作り上げ、さらにチャレンジしたい気持ちにさせる手法です。
ミッション・ビジョン・バリュー
ミッション(組織としての存在意義)・ビジョン(目指す姿)・バリュー(価値観・行動指針)という企業理念を構築する3要素を明確にするためのフレームワークです。
ミッション・ビジョン・バリューを明確に掲げれば、社員の帰属意識を高めたり行動の選択をしやすくしたりすることが期待できます。
ミッションは、なぜこの組織が存在するのか、あるいはこの事業を行う意義を明確化する、組織の存在意義です。ミッションに基づいて、組織がどうありたいのか、組織の理想像や中長期的な目標を示すのがビジョンです。そして、ビジョンを実現するための具体的な行動指針や行動基準をまとめたものがバリューになります。
ミッション・ビジョン・バリューを組織全体に浸透させることで社員も同じ方向を向いて取り組みやすくなり、組織開発を進めやすくなります。
組織開発を実践する際の手順
組織開発に有効なフレームワークを紹介しましたが、実際の始め方がわからない人も多いと思います。
組織開発を実践する際には、以下のような手順で進めていくと良いでしょう。
組織の目的を明確化する
現状から課題を見つけ出す
課題を設定しアクションプランを立てる
効果の検証を行う
成功事例を他部署にも共有し組織全体の改善につなげる
1. 組織の目的を明確化する
まずは組織としての目的を明確にしましょう。企業理念をもとに、どのような組織・チームを目指すのか考えます。
現状とのギャップや課題の洗い出しをする際にも、組織の目的が明確になっていないと比較が行えません。
ここがブレてしまうと、今後の組織開発の根底が揺らいでしまうことになりますので、しっかりと目的を明確化し、組織の中で共有することが重要です。
2. 現状から課題を見つけ出す
目的が明確になったら、現時点で不足している部分の把握に移ります。社員にアンケートやヒアリングを行い、組織にある課題を洗い出しましょう。
具体的に「何を」「いつまでに」「どのような状態にするか」を明確にして、事実やデータにもとづいて認識した現状に対して、目指す姿とのギャップから課題を精査します。
3. 課題を設定しアクションプランを立てる
課題の中から最も優先して取り組むべきものを設定し、解決に向けたアクションプランを設計します。課題解決に向け、日頃の業務にアクションプランの計画を取り入れます。
このとき、組織全体で行うのではなくまずは1つのチームなどに限定して行うとよいでしょう。これは「スモールスタート」と言われていて、まず小さなチームから始めて成果を出し、段階を踏んで組織全体に拡大していくアプローチです。
4. 効果の検証を行う
どのような内容が効果的なのかは実践してみないとわからないため、まずはスモールスタートで組織開発を始めてから、効果の検証と実践を繰り返します。
改善すべきところは改善し、トライアンドエラーを繰り返しながら進めましょう。
5. 成功事例を他部署にも共有し組織全体の改善につなげる
成功事例が出たら、他のチームや部署などに展開して情報共有します。この際、単に成功した結果を伝えるだけでなく、プロセスや上手くいった理由などをよく分析したうえで、ポイントを伝えるとよいでしょう。
小さなチームで始めたことも、組織全体で共有することで、スムーズに全体へ展開することが可能になります。
組織開発の具体例・事例
組織開発の具体的な事例を知りたいという人のために、弊社アイデンティティ・パートナーズの研修・コンサルティングサービスを通じて、組織開発につなげた一例をご紹介します。
株式会社福島銀行の事例
株式会社福島銀行では、中期経営計画で「傾聴力と対話力」アップを掲げ、弊社の外部講師を招き、まずは若手中心の研修制度を実施しました。
コロナ禍でさまざまな制約がある中、敢えて対面にこだわって『お客様の気持ちに寄り添うヒアリング研修』と『相手の気持ちを掴むコミュニケーション研修』を年次で実施します。コロナ禍での入社で横の繋がりがない世代も、共通の悩みを話し合ったり、課題を共有し合ったりして、同期の繋がりを持てるようになりました。
今までは営業に対して後ろ向きでネガティブなイメージを持っていた若手社員のモチベーションがアップし、主体的に取り組めるようになったと現場からの声が上がっています。傾聴力で課題や悩みを聞いて改善提案をするという姿勢が、顧客とのコミュニケーションだけでなく社内のコミュニケーション力を高めるきっかけになっているようです。
この成功例を元に、福島銀行では、さらに支店長を対象とした若手へのスキル支援プログラムを実施しています。今後はさらに中間管理職など対象を拡大し、全社で前向きなモチベーションを持てるよう取り組んでいきたいと、人事部担当者は考えています。
株式会社福島銀行の事例紹介はこちら
組織開発入門としておすすめの本・書籍
組織開発についてさらに知りたいという人のために、入門としておすすめの本・書籍を紹介します。
初心者にもわかりやすいおすすめの参考書籍を6冊選びましたので、ぜひ参考にしてください。
『マンガでやさしくわかる組織開発』
著者:中村和彦・松尾陽子
出版社:日本能率協会マネジメントセンター
出版年月日:2019/07/31
抽象的でわかりにくい「組織開発」の考え方を、マンガのストーリーを元に解説していきます。
著者の中村和彦氏は、南山大学人文学部心理人間学科教授で、人間関係研究センターセンター長を務める日本の組織開発の第一人者です。
初心者にも読みやすいマンガのストーリーで疑似体験をし、シンプルかつ的確な解説で理解を深めるような形式ですので、組織開発の入門として最適な一冊と言えます。
『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』
著者:早瀬信・高橋妙子・瀬山暁夫
出版社:ダイヤモンド社
出版年月日:2023/9
日本で組織開発コンサルティングのトップランナーとして活躍する著者3名が、中村和彦氏監修のもと、組織開発のはじめ方をわかりやすく丁寧に解説します。
まず組織開発とは何か、どのようなステップを踏んで始めればよいか、などの基本を解説した後、7つの実践例を挙げて具体的に説明しているので、初心者でもわかりやすいのが特徴です。
7つの実践例も、東芝やパナソニックといった大企業から、中小企業、地域コミュニティから大学の研究室まで、規模や業種など幅広く選択されていて、どのような組織や企業にも活用できる内容です。
『図解 組織開発入門』
著者:坪谷邦生
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
出版年月日:2022/2/18
組織開発とは何か、チェンジエージェント・サーベイ・フィードバック・対話型組織開発・心理学的経営など組織に関わる専門用語やホットな話題について、Q&Aや図解を使ってわかりやすくまとめた入門書です。
著者の坪谷邦生氏は、IT企業の人事マネジメントやリクルート社での人事コンサルタントを長年経験した、人事のプロフェッショナルです。
ともすれば専門的で難しいと感じられる組織開発について、体系的にわかりやすく理解できるようになっています。
『組織は変われるか――経営トップから始まる「組織開発」』
著者:加藤雅則
出版社:英治出版
出版年月日:2017/12/11
著者の加藤雅則氏は、日本興業銀行、環境教育NPO、金融庁検査官、事業投資育成会社などを経て、組織コンサルタントとして多くの大企業の支援を行っています。
本書は、著者の豊富な組織コンサルタントの経験を生かし、組織開発の始め方や効果的な導入の仕方などの方法論をまとめたものです。
実在企業をモデルにしながら、組織コンサルタント、社長、役員、部長の順に対話を重ねて組織開発の進め方を説明していく方式ですので、読みやすくかつ実践的な内容になっています。経営者視点で組織開発に取り組みたい人にもおすすめの本です。
『「データと対話」で職場を変える技術 サーベイ・フィードバック入門 これからの組織開発の教科書』
著者:中原淳
出版社:PHP研究所
出版年月日:2020/2/26
組織開発にあたり、サーベイ(組織調査)結果を上手に活用しフィードバックする方法を解説した本です。
著者の中原敦氏は、東京大学教育学部卒業後、メディア教育開発センター(現・放送大学)、米国・マサチューセッツ工科大学客員研究員、東京大学講師・准教授などをへて現・立教大学経営学部教として活躍しています。
注目を浴びているHRテックなどの職場の最新技術ですが、現場では活用しきれていないのが実情。そのような「コケてしまっているデータ活用」に翻弄されずに、職場のデータを活かして、今いるチームや組織を変える方法について、図版とイラストを多用してわかりやすく解説しています。
『組織開発の探究―理論に学び、実践に活かす』
著者:中原淳・中村和彦
出版社:ダイヤモンド社
出版年月日:2018/10
日本の組織開発の第一人者である原淳氏と中村和彦氏の2人がタッグを組み、組織開発の理論と実践について解説した本です。
組織開発について、「組織開発を下支えする哲学的・思想的基盤」・心理劇・ゲシュタルト療法などの「集団精神療法」・「組織開発の独自手法」の3層に分けて解説。具体的な企業事例もあわせて紹介し、理論と実践両面から理解を深められます。
組織開発コンサルティング・コンサルタントとは?
最近では、組織開発コンサルティングや組織開発コンサルタントなどの言葉を耳にしますが、従来の人材育成や人材開発コンサルティングと何が違うのでしょうか?
「組織開発コンサルティング」とは、企業や組織に対し組織開発に関するコンサルティングサービスを行うことを言います。
とは言え、まだまだ日本では組織開発を専門としたコンサルティング会社は少なく、人材育成や人材開発コンサルティングに組織開発の手法や考え方を取り入れているところが多いようです。
弊社サービス事例を御覧いただいてもわかるように、組織開発は若手社員の研修制度などスモールスタートから導入し、フィードバックをしながら徐々に全社に拡大していく、といった進め方が適しているからです。
弊社は組織開発コンサルティングのノウハウも蓄積していますので、経営層や人事部が組織開発や組織の活性化についてご相談したい、といったニーズにも対応可能です。ご興味がある場合は、ぜひご相談ください。
アイデンティティ・パートナーズのサービス一覧はこちら
組織開発コンサルタント資格
アメリカでは、一部の民間企業や大学などで組織開発に関するコンサルタント講座や資格認証などを行っているようですが、日本には、まだ組織開発に関する公式のコンサルタント資格はありません。
ここでは、日本で組織開発に関する講座や啓蒙活動を行っているNPO法人ODNJと公益財団法人 日本生産性本部についてご紹介します。
OD Network Japan(ODNJ)
「ODNJ」は、組織開発にかかわる実践者(経営者/内部実践者/コンサルタント)と研究者がネットワークでつながり、共に学び協働するコミュニティです。
2010年2月に設立され、2015年3月にNPOとして法人化されました。国際的な組織開発の研究・ネットワーク組織であるIODA(international organization development association)やODN(OD Network)といった団体と連携しています。
「情報発信」「自己研鑽」「交流」「普及・啓発」を4つの事業の柱とし、会員同士の年次大会や講座・研究誌の提供のほか、非会員にも公開する研究会を実施するなどの活動を行っています。
ODNJのHPはこちら
日本生産性本部
「日本生産性本部」は1955年に「生産性向上対策について」の閣議決定に基づき、政府と連携する民間団体として設立された公益財団法人です。経済界・労働界・学識者の三者から構成され、経営組織、生産管理、マーケティングなどの経営手法を学ぶための視察団派遣や産業別・企業別の労使の委員会の設置などの活動を行ってきました。
現在では、人材育成研修や経営コンサルティングなどの分野に活動を広げ、生産性に関する調査研究・提言活動を行っています。経営コンサルティングの一環として組織開発コンサルティングにも力を入れており、組織開発の研修・セミナーや組織診断サービスなどを提供しているのが特徴です。
日本生産性本部のHPはこちら
【まとめ】組織開発とは、組織の関係性と自走力を高める取り組み
今回は組織開発とは何か、人材開発との違いや組織開発に利用できるフレームワーク・手法などについて解説しました。
働き方の多様化や慢性的な人手不足などにより、変化に柔軟に対応できる組織が求められています。組織開発とは、今ある組織の関係性を見直し、改善させて、組織の自走力を高める取り組みです。
組織開発を行えば、生産性の向上はもちろん、離職率の抑制やイノベーションの誕生も期待できます。個別の課題に目が行きがちですが、長期的な視点で全体を見て関係性から組織を変えていくアプローチも進めていきましょう。
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